Rauber Kopsch Band2. 232   

 上皮細胞の一部は精子が発達しているあいだ,これに栄養をあたえ,また支持するものに変わっている.これをセルトリ支持細胞Sertolische Stützzellen(Fußzellen)という.そのほかのいっそう大きい部分は精細胞Samenzellenに変わる.後者はきわめて規則的で活発な有糸分裂をなして増殖し,はっきりと柱のような並びかた(精細管の軸に放射状に)をしている.壁にすぐ接している精細胞は精祖細胞 Spermiogonien, Stammzellenと呼ばれる.これに続いてその内方にある層をなすのが,精母細胞Spermioaytenであって,これは精祖細胞から最初にできるものである(図299).精母細胞が精娘細胞Praespermiden(IとII)と精子細胞Spermidenをつくる(図302).精子細胞はセルトリ網胞の末梢の原形質にとり入れられ,これから栄養物を供給される(Peter).そしてここで完全な精子となるのである(図299).

[図300]人の右の精巣とこれを包む被膜の横断 精巣の下部を横断してある.8 精巣縦隔.

[図301]精巣と精巣上体の縦断×1

 精巣網では上皮は扁平な上皮細胞と低い円柱上皮細胞とからなっている.精巣縦隔の結合組織のなかには平滑筋の網が広がっている.

 精巣小中隔の結合組織は,固有層Tunica propriaと呼ばれるおのおの精細管の周りにある間質結合組織とつながっている.この結合組織のなかには血管,リンパ管,神経のほかに,脂肪と色素粒子および類結晶をもった円みのある細胞が散在したり,あるいは集団を作って存在している.これが精巣の間細胞Zwischenzellenである(図298).これは粒子をもつ結合組織細胞の1種である.

 新鮮な精細管でみると,精祖細胞のなかにもきわめて小さな類結晶が認められるが,これはごく少数にはすべての精祖細胞に存在するものである.

 K. Peter, Arch. mikr. Anat., 53. Bd.,1898.

精子発生Spermiogenese(図298, 299, 302305)

 精子細胞が精子に変形するのは次のようなぐあいである.精子細胞(図302, 304, 305)は普通の細胞と同じく細胞体と核,および中心小体,それに中心球Sphäre,内網装置Binnengerüstからなっている.そのほか原形質内に含まれる特別のもの,たとえばミトコンドリアなどがある.

 からは精子Spermiumの頭部Kopfができ,中心球からは頭帽Kopfkappeができる.中心小体頚部Halsと結合部Verbindungsstüskおよび軸糸Achesenfadenの形成に関与している.細胞体微小粒体Mikrosomenと軸糸尾部Schwanzの被膜とをつくる.ミトコンドリアはラセン糸Spiralfadenとなって軸糸の頚部のまわりにある.

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最終更新日13/02/03

 

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