Rauber Kopsch Band2. 234   

 こうして核は次第に精子の頭部の形をしてくる.頭部は微小粒体をもった細胞形質性の“頭部被膜Kopfhülle”で被われている.

 二つの中心子のうち(後方の)1つは精子細胞の精細管の内腔に向かった表面のところにゆく.そこでは細胞から1本の鞭毛が出てくる.この鞭毛が後方の中心子とつながっていて,これが精子の尾のなかの軸糸になる.軸糸は幾本かの細い原線維からできている.前方の中心子は核の後極に移り,これとかたく結合する.それからしばらくすると後方の中心子が2つに分れて,その1つは輪状になり,もう1つは円板状になる.円板状となったものは,そのあいだにますます伸びてきた鞭毛を伴って,核とつながっている前方の中心子のそばにいく.そうして中間質によってこの中心子とつながって,成熟した精子の頚部の小結節Halsknötchenになる(図307).この小結節は中間質とともに精子の頚部を形づくるのである.後方の中心子が前進するときに鞭毛の前部は輪状の部分を貫いて細胞体に入っている.そこでは鞭毛の前部が特別な3つの層をもつようになる.すなわち1. 薄い被膜,これは精子細胞のそとにある鞭毛の部分を包む被膜と中断せずに続いている.この層に続いて2. かなり粗大な粒子(ミトコンドリア)からなるラセン糸と3. ラセン糸を外側から包んでいる外の被膜である(図307).

[図303]精母細胞 核のすぐ左に中心球があり,そのなかには亜鈴状の中心子が2つある.

[図304]精子細胞 模型図(Meves 1900)

[図305]精子細胞が変形して完成した精子になるところ(Mevesの模型図)

 

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最終更新日13/02/03

 

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