歴史的な偉大な解剖学書
鞭毛の前部は以上の3層の被膜をもっており,精子の結合部Verbindungsstückとよばれる.これはつまり後方の中心子が前後に分れて発達する,その2つのものの間である.すなわち板状のものが前の境であり,輪状のものが後の境である.
[図306]ヒトの精子 左の2つはRetziusによる.
いちばん右はJensenの所見をとり入れてある.そして左の1つは側方から,右の2つは広い面のがわからみたものである.
[図307]ヒトの精子の構造(模型図) (Stieveによる).
鞭毛の結合部より後方の部分も膜で包まれている.鞭毛の後端,つまり終末部Endstückだけは被膜がない(図306).
精子細胞の細胞体のうち利用されない部分は,なおしばらくのあいだ精子の尾部のところについているが,これが次第になくなる.おそらくは溶けてしまって,精子の間にみられる液体の一部になってしまうのであろう.
最終更新日13/02/03