Rauber Kopsch Band2. 243   

3. 精索Funiculus spermaticus, Samenstrangおよび精巣と精索の被膜Tunicae testis et funiculi spermatici, Hüllen des Hodens und des Samenstranges

 精巣は何枚かの膜に包まれて陰嚢のなかにはいっていて,陰嚢はその最も外側の被膜である.被膜は腹壁の各層に一致していて,これらが袋のように突出したものであり,陰嚢の壁をなしている.

[図316]鼡径管にはいる前の精巣と精巣上体(模型図)

1 前腹壁の壁側腹膜;1'後腹壁の壁側腹膜:2と3 腹膜鞘状突起の柄と袋の内部,すなわち陰嚢腔Cavum scroti:4精巣:5精巣上体:6精管:7精巣上膜.

[図317]精巣と精索の被膜 模型図

 v 前, h 後,1精巣:2精巣上体:r陰嚢腔.

 精巣は初めから陰嚢のなかにあるのではなくて胎生期のかなり遅い時期になって,初めてそこに達するのであって,そのとき精巣はそれが発生した腰部から下降してきたのである.これを精巣下降Descensus testisといい,そのさい精巣は鼡径部において前腹壁を貫く.しかし精巣はこの目的のために腹壁を前方にもちあげるのでもなく,そこを破るのでもない.精巣がのちにはいってくるための袋は精巣じしんが鼡径管を通過するよりもずっとまえに∫腹壁のすべての層をそなえてあらかじめできあがっているのである(図316).

 精巣にゆく血管とそれを支配する神経,および精管は精巣に伴なっていく.このようにして精巣は結局いく層かの袋に包まれることになる.精巣の上端から内鼡径輪まで伸びている索状になったこの袋の部分は,その内容物とともに精索Funiculus spermaticus, Samenstrangとよばれる.

1. 最内層は精巣を包むもので,腹膜の続きである.これは精巣上膜Epiorchiumとなって精巣と精巣上体の表面の大部分を被い,ついで精巣膜Periorchiumとなって陰嚢腔の内面を被っている.陰嚢腔Cavum scrotiは精巣膜と精巣上膜のあいだにある隙間のような空所である(図297, 300, 317).

S.243   

最終更新日13/02/03

 

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