Rauber Kopsch Band2. 250   

 ときおり射精管は前立腺小室の終りの部分に開いている.

 尿道の前立腺部は単層の円柱上皮をもっている.精丘はその基礎として中軸部に弾性線維の網からなる縦走索をもっている.これは膀胱三角においてよく発達している縦走筋線維束とつづいている.この弾性網の目のなかには平滑筋の縦走する束がある.この縦走索は海綿状の組織,すなわち静脈血のはいっている腔所をまじえた組織によって包まれている.この組織が静脈腔をとりまいてひろがっていて,前立腺の腺体と同じ構造をした多数の小さい尿道周囲腺をもっている.

 粘膜の外には筋層が続いている.その内側の層は平滑筋からできていてその縦走線維層である.その外側には同じく平滑筋の輪走層が接している.

b)前立腺小室Utriculus prostaticus(図267, 319)

 前立腺小室は正中線上で前立腺の実質中に入りこんでいる袋で,長さは8~10mm,その開口部の広さは1~2mmであるが,行きづまりに終る底の広さは4~6 mmに達していることがある.しかしその大きさと形は個体によってきわめてまちまちである.欠如していることさえある.また開口部が閉じていることもある.

 前立腺小室には上部と下部の2部分が区別できることが珍しくない.前立腺との間をはっきり境するような壁は存在しない.小室の壁は粘膜と平滑筋線維とからなっていて,後者は広い血液腔を豊富にまじえている.粘膜には2種のひだがある.1つは収縮ヒダKonstraktionsfaltenで,いま1つは構造ヒダStrukturfaltenである.後者はいろいろな長さのこぎれいな高まりであって,副小ヒダNebenleistchenを伴っているのが普通である.上皮は円柱細胞と補充細胞とからできている.粘膜はさらに腺をもっていて,これは単一または複合管状腺に属している.この器官は発生学的にみると女の腔と相同のものという点で重要である.

c)射精管Ductus ejaculatorii

 これについては 241頁においてすでに記載した.

d)前立腺の腺Glandulae prostaticae

 前立腺には30~50個の分枝胞状管状腺があって,これが前立腺という器官の大きな部分をしめている.これらの腺は尿道の前立腺部にかなり細い多数の導管,すなわち前立腺管Ductuli prostaticiをもって開いていて,漿液性の液体である前立腺液Prostatasaftを分泌している.

 腺細胞は丈の低い円柱細胞であって(図321),胃の円柱細胞に似ており,腺腔に向かって開放している.その比較的太い導管は尿道の前立腺部と同じように重層上皮で被われている.

 年令のすすんだ人では終末部のなかに,いわゆる前立腺小体Prostatakörperchenのみられることがまれでない.これは固くて,丸く,褐色をおびており,大きさは1mmに達することがあり,層構造を示している.またこれが石灰化していることもあって,そのばあいにはいわゆる前立腺石Prostatasteinとなっている.

e)前立腺筋Musculus prostaticus

 前立腺には平滑筋がきわめて豊富にあって,これが腺とともに前立腺の主要成分をなしている(図320).

b)男性の外部生殖器

1. 尿道球腺Glandulae bulbourethrales(カウパー腺Cowpersche Drüsen) (図262, 266, 267, 270, 335)

 尿道球腺は複合胞状管状腺であって,尿生殖隔膜のなかに対をなして存在し,深会陰横筋の筋束に包まれている.

 これは暗黄色ないし褐色をおびている固い2つの腺体,すなわち尿道球腺体Corpus glandullae bulbourethralisであって,円い形をして,エンドウ豆の大きさである.その個々の小葉が固い結合組織によってまとめられている.各側の腺の細い導管がたがいに鋭角をなして合してそれぞれ1本の導管,すなわち排出管Ductusexcretoriusとなる.

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最終更新日13/02/03

 

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