Rauber Kopsch Band2. 256   

 海綿体を構成している海綿組織Schwammgewebeは結合組織の梁と膜からできていて,これには平滑筋線維の束が含まれており,これらが粗密いろいろな骨組み,すなわち[海綿体]小柱,Trabeculae corporis cavernosiを作っている.そのあいだの隙間はたがいにつながっていて,単層の内皮細胞によって被われている.この腔所を海綿体洞Cavernae corporis cavernosi, kavernöses Labyrinthといい,強く拡張したり収縮したりすることができ,そのなかには血液を入れている.

[図326]尿道の前立腺部の上部を通る断面×1

[図327]精丘を通る断面×1

[図328]尿道の前立腺部の下部を通る断面×1

[図329]尿道膨大部を通る断面×1

 1. 陰茎海綿体;2. 尿道海綿体球.

[図330]尿道の海綿体部の中間部を通る断面×1

 1. 陰茎海綿体;2. 尿道海綿体.

[図331]尿道舟状窩を通る断面×1

 1. 陰茎亀頭;2. 尿道海綿体;3. 陰茎海綿体尖;4. 包皮小帯

 動脈の枝は陰茎が縮んでいるときには係蹄状にうねっていることが多い.このようなものを螺行動脈Aa. helicinae, Rankenarterien という.

 流入する動脈は陰茎深動脈と陰茎背動脈から出ている.

 流出する静脈は一部は粗な表層の静脈網から,一部は中心にある海綿組織からでてくる.これらは一部は陰茎深静脈に,一部は筋膜下陰茎背静脈に集まる.

 尿道海綿体には上に述べたのと異なる点が若干ある.ここには深層と浅層の領域が区別されて,深層の領域は尿道の粘膜下組織の静脈叢からなりたっている.浅層のものはだいたいに陰茎海綿体の海綿組織と一致している.しかし小柱はいっそう細くて,腔所もいっそう小さい.さらに流入する動脈と海綿体洞との直接のつながりがここにはない.陰茎亀頭の基礎をなすものははなはだしくうねった静脈の群である.亀頭に血液をみちびく動脈は陰茎背動脈の前方の枝である.

 海綿体のもつ機能的意義は,そこに含まれる血液の量の変化によって,急激にその容積を変えうることにある.このためには海綿体洞がだいじな役目をしていて,この海綿体洞は壁に平滑筋をもっている巨大毛細管網ということができる.

 血液の強い流入は動脈と洞との直接および間接の結合によっておこり,一方血液の流出を少なくするための制御装置が存在する.

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最終更新日13/02/03

 

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