Rauber Kopsch Band2. 261   

5. 隔膜尿道括約筋M. sphincter urethrae diaphragmaticae(図335)

 この筋は主として輪走する束より成り,尿道の隔膜部とそれに続く前立腺部の一部をとりまいている.

β)女の場合

 外部尿生殖筋のうちで球海綿体筋だけが外観的に男の場合と本質的に異なる関係を示す.そのほかの4つの筋は男の場合とまったく同じ関係である.

1. 球海綿体筋M. bulbocavernosus(図336)

 この筋は尿生殖隔膜の内側部から出ており,少数の筋束によって外肛門括約筋とつづいていて,前方では数条に分れて陰核の下面,前庭球の後面,腟前庭の上壁の粘膜についている.

2. 坐骨海綿体筋M. ischiocavernosus(図336)

 この筋の広がりはいっそうせまい.その筋束は小さい陰核海綿体の後方で坐骨からおこり,またこの海綿体の外側面からも起こっている.そして陰核背と尿道前靱帯Lig. praeurethraleに終わっている.

3. 浅会陰横筋M. transversus perinei superficialis(図336)

 この筋には特別に変つたことがない.球海綿体筋への線維束の移行は女の会陰でもしばしばみられる.

4. 深会陰横筋M. transversus perinei profundus(図336)

 この筋は一部は平滑筋からなっている.横紋筋の量は個体的にきわめてまちまちである.

5. 隔膜尿道括約筋M. sphincter urethrae diaphragmaticae

 尿道の一部すなわち尿生殖隔膜のなかにある部分をとりまいている輪走の線維束である.

b)腸の末端部の筋群

1. 外肛門括約筋M. sphincter ani externus(図262, 266, 275, 276, 332, 333, 335, 336)

 これは肛門を閉じる働きをする随意筋であって,その内方の線維は直腸の下端をとり囲んでいる.それより表層の筋束は肛門の側面を矢状方向に走り,肛門の前方において交叉して一部は会陰の皮膚に,一部は尿生殖隔膜に終わっている.肛門の後方でもやはり交叉して一部は皮膚にゆき,一部は肛[門]尾[骨]中隔Septum anococcygicumを介して尾骨の尖端に達している.外尿生殖隔膜筋膜から副筋束のきていることがまれでない.

2. 肛門挙筋M. levator ani(図262, 333, 335, 336)

 両側の肛門挙筋は(尾骨筋とともに)1つのロート状にかたむいた筋板をなしていて,この筋板は骨盤出口を塞ぐことにあずかっており,それゆえに骨盤隔膜Diaphragma pelvisともよばれる.左右の肛門挙筋の前縁のあいだには正中に隙間があって“Levatortor”(挙筋門の意)といい,そのなかに前立腺の尖端がはいっている.肛門挙筋は各側とも恥骨結合の後面から坐骨棘にいたる1線から起こっている.特にその筋線維は恥骨枝の寛骨臼部の内面と閉鎖筋膜腱弓Arcus tendineus fasciae obturatoriaeから起こっている.そして膀胱,前立腺(あるいは腟),直腸の側面に沿って後方にすすみ,前立腺とは固く着いている,また直腸の縦走筋層は肛門挙筋の束のあいだに終わっているので,この筋は直腸の壁とも密着している.

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最終更新日13/02/03

 

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