Rauber Kopsch Band2. 287   

V.神 経 系Systema nervorum, Nervensystem

A.神経学総論

1.序論

 すでに前に載せた体の横断模型図において,神経系および感覚器系は2つの環としてあらわされている,すなわち神経系の環(図1, 2)と表皮性の環(1)とである.

 神経系がその作用を営みうるために,この系統は身体の他の部分と密接な関係におかれ,かつ身体のなかにはなはだ広くひろがっている.

 この点では脈管系と似ているし,そのうえ多くの場所では脈管系と共同の路を通っている.そして脈管系にも中枢の部分と末梢の部分とが区別されるように,神経系でもまた同様の区別がある.脈管系じしんが神経を豊富に受けている.

 中枢の部分,すなわち中枢神経系Systema nervorum centrale, Zentralnervensorstemは脳および脊髄よりなる.末梢の部分,すなわち末梢神経系Systema nervorum periphericum, peripherisches Nerwensyrstemには末梢神経およびこれとつづいている末梢の神経節Ganglien, Nervenknotenがある.神経節にはさらに2種類がある,すなわち脳脊髄神経節cerebrospinale Ganglienと交感神経節sympathische Ganglionである.交感神経節はこれらの神経節相互のあいだを結びつけたり,また脳脊髄神経系とこれらとの間をむすびつけている多数の細い神経,およびこれらの神経節から出る細い枝とともに交感神経系sormpathisches Nervensystemあるいは植物神経系vegetatives Nervensystemまたは自律神経系autonomes Nervensystemというある程度独立した系統,いわゆる交感神経Sympathicusをなしていて,これは内臓,腺,平滑筋,血管およびおそらくは横紋筋にも分布している.

2.神経分節neurales Segment

 神経分節には次に述べるような諸型がある:すなわち中枢器官Zentralorgan(図355)から各側1本の腹方の運動性の神経根motorische Nervenwurzelすなわち前根Radix ventralisが出て,これは側方に向かっている.この神経根に対して背方の,本質的には知覚性である神経根sensible Nerwenwurzelすなわち後根Radix dorsalisがやはり1本あるが,この後根には脊髄神経節Ganglion spinaleという1つの膨れた神経節がある.前根はこの神経節にただ接しているだけである.この神経節の末梢がわで,これらの両根が合して脊髄神経Nervus spinalis, Spinalnervの短い共通幹となり,これがさらに4本の枝に分れている:すなわち

1. 後枝Ramus dorsalis;これは後方に向かってすすみ,内側の枝と外側の枝とに分れて背部の筋肉および皮膚に分布する.

2. 前枝Ramus ventralis;これは体壁のなかを腹方に走り,次の2本の枝を出す.a)外側皮枝Ramus cutaneus lateralis,これはさらに1本ずつの後枝と前枝とに分れて体の外側部の大きな帯状の皮膚区域に分布している,b)腹方の前皮枝Ramus cutaneus ventralisは正中線に近接する前面の皮膚領域を支配している.そのうえに前枝は特に四肢の筋肉をも含めた腹方の筋肉全体を支配するのである.

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最終更新日13/02/03

 

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