Rauber Kopsch Band2. 289   

a)神経細胞Nervenzellen

 ニューロンをその突起の数によって単極unipolar,双極bipolar,および多極multipolarのものに区別する.もう1つ別の分類では神経突起すなわち軸索突起Neuritenが長いか短いかが,区別の目じるしとなっている

:すなわち

α. 長い神経突起(軸索突起)をもつ細胞;その神経突起がしばしばその細胞体のそばでいくつかの細い側枝Kollateralenをだしたのちに1本の有髄神経線維の軸索になる.長い突起をもつ細胞といっても,その神経突起(軸索突起)の長さがはなはだまちまちである.人ではその最も長いものは1メートルをこえることがある.

β. 短い神経突起(軸索突起)をもつ細胞;このものではその神経突起が細胞体の近くでつぎつぎと分岐して,間もなく神経の枝の密な集まりとなって終わっている(第I巻,図119).

b)神経線維Nervenfasern

 中枢神経系の神経線維は一部は有髄markhaltig,一部は無髄marklosである.これらの神経線維は,シュワン鞘Schwannsche Scheiaeをもたずにグリアに取りまかれているという点で,総論の中に記した神経線維の構造と違っている.

c)神経線維フエルトNervenfaserfilzおよび神経網Nervennetz(基礎網Grundnetz) (図356, 357).

 われわれはすでに組織学において,灰白質の内部にはニューロンの突起,しかもその樹状突起ならびに神経突起(軸索突起)とその側枝がつぎつぎに分れて枝を出して終末分枝Telodendren, Endbdiumchenを成していることを知ったのである.この終末分梗の最も細い枝は結局ただ1本の神経原線維といくらかの原線維周囲物質Perifibrillarsubstanzだけからできている(Bethe).

 以前には一般に次のように信ぜられていた.隣り合せている分枝構造は直接にたがいに続いており,神経の中枢を貫いて広くひろがり,到るところにはいりこんでいる神経網Nervennetzが存在するということであった.

 次いでゴルジの染色法Golgische Methodeによってえられた所見およびこの所見を基礎にして樹てられた神経元説Neuronenlehreの影響のもとに,ニューロンが直接に続いているということが否定されるようになった.それより古い時代の学者たちが神経の網と考えたものは数多くのニューロンの分枝が噛み合うことによって生じた緻密な神経線維フェルトNervenfaserfilzにすぎないと一般に理解されたのである.ニューロンの間の互いの結合(シナプシスSynapsのは,生理学的観察ではその結合が必ず存在するようであるが,組織学では両方のニューロンが相接したがいに触れていることによってのみ起る.といわれ,あるいはまた両者が2次的に合一することによって起るというのである(Golgi, Kölliker).

 さらにその後になって,神経原線維を染め出したものを基にして,格子状をなす真の神経網の存在がふたたび記載されるにいたった.これはHeldによって汎在基礎網“allgemeines Grundnetz”として人の小脳の灰白質および白質のなかで記載されたのである.

[図356]汎在基礎網 ヒトの小脳皮質.a~g樹状突起,1~6 神経突起(軸索突起),その神経原線維は基礎網のなかにある.(Held,1929)

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最終更新日13/02/03

 

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