Rauber Kopsch Band2. 294   

7.白質weiße Substanz,灰白質graue Substanz,膠様質gelatinöse Substanz

 ニューロンの細胞体の部分が群をなして配列することおよび神経突起が集まって東をなす,その配列が核および伝導路の色合いの大きな差をおこすのである.有髄性の神経突起は白くて繻子のように輝いて見えるが,これに反して細胞体の集まっているところ,すなわち核は灰白色に見えて光沢がない.この差異は灰白質が豊富に血管をうけることによっていっそう著しくなるのである.これに反して伝導路は比較的に血管の乏しいことが有髄神経線維の白い輝きをいっそうはっきりさせるのである.

 核集団Kernmasseと伝導路との間の,目立った色の違いはその場所がそれぞれきまっているので白質Substantia alba, weiße Substanxおよび灰白質Substantia grisea, graue Substanzと名づけるもとになった.グリヤが比較的多く集まっていると,その場所はいくぶん透明になっているので,そこは膠様質Substantia gelatinosaと呼ばれている.

 神経細胞体に色素が含まれていることによって2, 3の場所では黒い色調,青い色調および黄色をおびた色調を生じ,黒核Nucleus niger(Nucleus nigerはNomina Anatomica JAponicaでは「黒核」と直訳されているが実用上は「黒質」と呼ぶことが多い.(小川鼎三)),青斑Locus caeruleus,灰白層Stratum cinereumという.

8.器官としての末梢神経の構造

 末梢神経は神経線維,すなわち運動性ニューロンの神経突起(軸索突起)および知覚性ニューロンの樹状突起からなっている.神経線維は一部は有髄,一部は無髄である.脳脊髄神繹では有髄線維の方が多くて,交感神経では無髄線維が優勢である.それゆえ前者は白く繻子のように輝き,後者は灰白色である.個々の神経線維の太さはすこぶるいろいろであり,太い神経線維と細いものとが相並んでいる(図364).

 個々の神経線維は結合組織によって分けられ,同時にまとめられている.結合組織は個々の神経線維の周りに薄い鞘,すなわち神経内膜鞘Endoneuralscheidenをなしている.この鞘は細い膠原線維と内皮細胞とからなるのである.多数の神経線維およびその神経内膜鞘がかなり幅のひろい結合組織束によってまとめられ細い1本の線維束となり,それをまとめる結合組織のなかには膠原線維のほかに弾性線維やかなり太い血管が含まれている.個々の神経線維のあいだにある組織の全体が神経内膜Endoneuriumとよばれるのである(図364).このような細い線維束のいくつかがいっそうかたい結合組織の数層をなしてたがいに同心性に配列しているもの(層板Lamellen)に取り巻かれており,この層板をなす結合組織の個々の束は主として神経の長軸の方向にのびている.これらの層板を神経周膜層板Perineurallamellenといい,その全体を指して神経周膜Perineuriumといい(図368).個々の神経周膜層板のあいだの隙間にはリンパ間隙Lymphspaltenがあり,内皮細胞が被っている.これらの隙間は中枢神経系を取り囲むところのリンパ腔Lymphräumeと続いている.

 さらにいくつかの束が,血管および脂肪組織をもつ結合組織によって1つにまとめられている.この結合組織が神経上膜Epineuriumである.かなり太い神経では神経上膜の結合組織束は固く且つ丈夫であり,脂肪組織が豊富にあり,多数の血管がふくまれる.

 神経の個々の束はその走行の途中で分岐する.その分れた枝が他の神経束に接して,しかもそれと合同している.こうして神経叢Nervenplexusが生ずる(それについては第10項, 295頁を参照せよ).

 神経線維束と神経上膜の膠原線維とはNauck(Verh. anat. Ges.,1931)によれば波形を呈している.その波の形が延びてなくなることによって神経は伸長できるのである.

9.器官としての末梢神経節の構造

 末梢の神経節Peripherische Ganglienは神経細胞が局所的に集まったものであって,多数の(有髄および無髄の)神経線維によって貫かれている.ごく少数しか細胞体を含まないで顕微鏡でやっと見えるような小さな神経節もある.

S.294   

最終更新日13/02/03

 

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