Rauber Kopsch Band2. 301   

 後正中溝Sulcus medianus dorsalisは背面の正中線を走る浅い縦の溝である.その続きをなして,ところどころ中断した薄い膜である後正中中隔Septum medianum dorsaleが4~6mmの深さまで入りこんでいる.この膜はグリア線維よりなり,中心部にある灰白質に達して,これとつながっている.

 また前外側溝Sulcus ventrolateralisという溝は前方で外側にあって,脊髄神経の前根が出るためのものである.これは本当の溝ではなくて,前根の束がひき抜かれたあとが多数の小孔のある幅2mmの狭い場所として見えるのである.

 これに対して後外側溝Sulcus dorsolateralis,は縦走する本当ゐ溝であって,この中を通って太い後根がただ1列をなして脊髄に入っている.

 これらの外側溝は神経が出入するためのものであるが,そのほかに,脊髄にはなお各側に前中間溝Sulcus intermedius ventralisと後中間溝 Sulcus intermedius dorsalisとがある.前中間溝はその存在が不定であり,後中間溝は脊髄の頚部の全体と胸部の上半にだけ存在する.

[図376, 377]脊髄の頚部の一部とそこから出る神経根×2(Quainより)

 図376. 脊髄の前面;右側では5のところで前根の根糸が切断してある;3は前外側溝およびそこから出る前根の根糸. 図377. 脊髄を側方からみる;6'は脊髄神経節.

b)脊髄索Fasciculi medullae spinalis, Markstränge(図373, 374, 381)

 前索Fasciculus ventralis, Vorderstrang;前正中裂と前外側溝の外側縁とのあいだの部分である.前中間溝によって幅の狭い内側の部分すなわち前皮質脊髄路(錐体前索路)Tractus corticospinalis ventralisが境される.

 側索Fasciculus lateralis, Seitenstrang;前外側溝と後外側溝とのあいだの部分で,すべての脊髄索のうちで最も大きい.

 後索Fasciculus dorsalis, Hinterstrang;後正中溝と後外側溝とのあいだの部分である.これは後中間溝によって内側部(薄束)Pars medialis,別名ゴル索Gollscher Strangと外側部(楔状束)Pars lateralis,別名ブルダッハ索Burdachscher Strangとに分れている.

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最終更新日13/02/03

 

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