Rauber Kopsch Band2. 303   

これはヘラの形に広がって第2尾椎の骨膜に移行している.

 硬膜嚢はいろいろな場所で脊柱管の壁と結合組織の束によってつながっている.

 硬膜はこれに包まれているものとの間に2様のつながり方をしている:すなわち

a)クモ膜の外面とは硬膜下小束subdurale Fädenによって結合していて,その他の場所では硬膜は平面的に広がった毛細管性のリンパ隙,すなわち硬膜下腔Cavum subdurale, Subduralraumによってクモ膜かち分けられている.

b)柔膜とは各側19~23個の低い尖頭の対称的な2縦列によってつながらているが,これらの尖頭は前額面にのびた幅の狭い結合組織の板の突出部であって,この結合組織の板といっしょに歯状靱帯Ligamentum aenticulatumをなしている.この靱帯は柔膜に固着して,脊髄を固着する装置となっている.

 第1の尖頭は硬膜嚢が椎骨動脈に貫かれる所よりも上方で,かつ第1頚神経よりも上方にある(第I巻,図396).その下方に続くものはどれも上下にならんだ2つの神経が硬膜に入る所のあいだに固着している.最後のものは最下の胸神経と第1腰神経とのあいだにある.最下の尖頭より下方で側方の靱帯条はなお脊髄円錐にまで追跡できる.歯状靱帯の前面の前方には前根があり,その後面より後方には後根および副神経がある(図378, 379).

 硬膜は密に組み合った線維性結合組織の束からなり,この線維束の多くは縦に走っている.線維束のあいだには液の通ずる路系Saftbahnsorsystemがあって,この路系は硬膜の内外両面に開口している.硬膜の内外両面は内皮で被われている.

 硬膜には血管(硬膜動静脈)および神経(硬膜神経)がある.

b)脊髄クモ膜Arachnoides spinalis(図370, 379, 380)

 これは血管も神経もない柔軟な膜であり,その外面は平滑で内皮に被われて硬膜に接している.内面はやはり内皮に被われており,多数のクモ膜下の小梁および小膜によって柔膜と癒着している.クモ膜と柔膜とのあいだには軟膜腔Cavum leptomeningicum, Subarachnoidalraumがあるが,これは相当に広くて,かなりの量の液体,すなわち脳脊髄液Liquor cerebrospinalisをもっている.他方の硬膜下腔はただ毛細管性の間隙をなしているにすぎない.

 軟膜腔の液体(60~200gr)は脳に属する数多くの大きな軟膜腔とつづき,さらにまた脳内部の脳室を充たす液体とも直接に通じている.

 つまりクモ膜は脊髄を弛く包んでいる1つの広い嚢であって,この嚢が外方は硬膜によって支えられている.クモ膜と柔膜とのあいだにある髄液に満たされた腔所は,歯状靱帯によって仕切られ,それによって不完全に前方部と後方部とに分けられている.

 脊髄のクモ膜は縦に走る結合組織線維束の薄い層よりなり,これらの線維束は線維のあいだの所々に狭い隙間を残していて,これらの隙間は内皮細胞で被われている.軟膜腔の小梁はみな内皮細胞を有っている.クモ膜と柔膜とをいっしょにして軟膜Leptomeninxという.

c)脊髄柔膜Pia mater spinalis(図379, 381)

 脊髄柔膜,すなわち血管膜Gefäßhautは脊髄の表面にぴったりと接着しており,前正中裂の中では脊髄軟膜中隔Septum leptomeningicum spinaleを作っている.

 柔膜は内,外の2層よりなる.クモ膜下小梁はその外層に移行している.その外層は密集して縦走する結合組織の束でできていて,この束が内皮の鞘に包まれており,また外側が薄い内皮の膜で被われている.

 その内層Innenlageは毛細管性の隙間によって外層から分けられている結合組織の板であって,この板は輪走する原線維束の薄い1層からなり,なお内層の内外両面には弾性線維網がある.さらに内面も外面も内皮で被われている.内膜の組織には,そこそこに色素細胞がみられる.

S.303   

最終更新日13/02/03

 

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