Rauber Kopsch Band2. 307   

 側索Fasciculus lateralis, Seitenstrangは灰白質の外側にある.これと前索との境はすぐ上で述べたが,後方の境は辺縁帯Zona terminalisがなしている.前索および側索の内部にはさらにいくつかの低次の索が区別される(319,  320頁参照).

 辺縁帯Zona terminalisは後柱の延長をなして脊髄の辺縁のところにあり,内側は後外側溝から入ってきた後根線維によって境されている.この辺縁帯は縦走する極めて細い有髄神経線維よりなっている.辺縁帯と後柱膠様質とのあいだには灰白質の1層で海綿帯Zona spongiosaとよばれる部分がある.

 後索Fasciculus dorsalis, Hinterstrangは後中間溝により,またこれからつづいて出る中隔によって,内側部Pars medialis(ゴル索Gollscher Strang)と外側部Pars lateralis(ブルダツハ索Burdachscher Strang)とに分かれている.

 前柱からは多数の束をなして前根(運動性根)ventrale(motorische) Wurzelnが出ている.

 後根(知覚性根)dorsale(sensible)Wurzelnは前根よりも太い束をなして,辺縁帯の内側でブルダッハ索の中に入ってくるが,そこでこの束は毛筆状に分散している.その線維の一部は後索の中にとゴまるが,その他の線維は後柱の灰白質の中に,また他のものは辺縁帯の中に達している.

 脊髄の最も外方を占める幅の狭い1層はグリアでできていて,柔膜下層subpiale Schicht(図379)とよばれる.

 これまでにのべた横断面での各部は,脊髄の一定の部分でははっきりとみえるが,他の部分ではそれほど明かでない(図383395).

 白前交連は頚髄・腰髄・仙髄では非常にはっきりしている.辺縁帯・海綿帯・後柱膠様質は,腰髄または仙髄で最もよく発達している.これらの部をまずこの高さでよく見た上では,頚髄や胸髄の中でも容易に見いだすことができるであろう.前根と後根とは,体肢への太い神経がそこから始まる頚膨大および腰膨大の範囲で最もはっきりと見ることができる.側柱および網様体は,頚髄で最も強大である.後索をゴル索とブルダッハ索とに区分することは,中部胸髄から上方で初めてできるのである.灰白質の細胞群はやはり何といっても,頚膨大および腰膨大の範囲で最もはっきりしている.--しかし模型図の中に示されたすべての細胞群が,1つの横断面のなかで同時にそろって見られると考えてはいけない. 背核は第11胸髄分節で最も強大である.背核は下方に向かっては急に,上方に向かっては次第に弱くなって,第7頚髄分節より上方および第3腰髄分節より下方ではほんの痕跡的な存在に過ぎなくなる.

6.中心管Canalis centralis, Zentralkanal

 中心管は脊髄内の場所によっていろいろ違った形と大きさとを示している.胸髄では,円味を帯びていて,その横径が0.05~0.1mmである.頚膨大では長軸を横にした楕円形であるが,腰膨大では前後の方向に長い卵円形をしている.延髄の方に向かって長軸を横に向けた楕円形から,矢状方向の隙間に変わってゆく.脊髄円錐では,この管はだんだんと後正中溝に近づいて,この円錐の下端になると広がって終室Ventriculus terminalisとなっている.

 この終室の横断面は多くはその頂点を後方に,底辺を前方に向けた三角形である.その長さ8~10mm,幅0.5~2mm, 深さ0.4~1 mmである.その先が終糸の中に細い管となって続いているが,この管は終糸の長さの半ばにまで達して,そこで行きづまりに終わっている.

 中心管はしばしば閉塞しているが,それは特に脊髄の頚部に見られることである.

7.灰白質と白質との量的関係

 灰白質は脊髄円錐Conus medullarisの尖端から腰膨大の中央までは,その量が絶えず増加し(横断面積が24.89qmmにまで),胸髄では非常に著しい減少(横断面積が4.56qmmにまで)を示し,頚膨大ではふたたび著しく増し(横断面積が19.67qmmまで),頚髄の上部では少しずつ減るのである.

S.307   

最終更新日13/02/03

 

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