Rauber Kopsch Band2. 311   

B. 詳説im Besonderen

 脊髄の灰白質のグリアは主として短突起細胞よりなり,中心膠様質Substantia gelatinosa centralisは専ら長突起細胞からなる.長突起細胞は灰白質の中にはいたる所に存在しているが,いろいろな場所によってその量がちがう.

[図396]血管周囲境界膜 ヒトの正常な大脳皮質から(Bauer, K., Z. Zellforsch., 30. Bd.,1940の図の一部);

[図397]ヒトの脊髄の表面付近

 グリアは次に述べる3つの場所で比較的大きな集まりをなしている:すなわち

1. 中心膠様質,2. 後柱膠様質,3. 海綿帯である.

 中心膠様質Substantia gelatinosa centralisは中心管のすぐ周りにあって,上衣線維Ependymfasernによって貫かれ,上衣細胞の細胞体とともにR. Virchowの中心上衣糸zentrale Ependymfadenを形成している.ここにはグリア細胞がかなり多数あり,この細胞はずんぐりとした形と豊富な線維をもち,中心管に対して同心性にならんだ線維の密集を示している.

 後柱膠様質Substantia gelatinosa dorsalisは,すでに肉眼で容易にみられる板Platteであって,弓なりに曲がって前方に開いており,後柱の頭を被っている.その突出した面は脊髄に入ってくる後根の方に向いている.腰部では半月形をなし,胸髄および頚髄では尖端を後方に向けて角をなして曲がっている.そして頚,腰の両膨大で最もよく発達しており,胸髄では最も発達が悪い.ここでは後柱の横断面の1/5を占め,頚膨大では1/3,さらに腰膨大では2/5を占めている(図383395).後柱膠様質は多くの場所で神経束によって貫かれ,かつきわめて豊富な線維の叢よりなり,多くの場所でその中にグリア細胞が散在している.ここに分布する血管の数は多くなく,神経細胞は全く無いわけではなく,また他の神経細胞が後柱膠様質の外縁に接して存在する.これが辺縁細胞.Marginalzellenである.

 後柱膠様質の後方に,海綿帯Zona spongiosaという狭い1層が,縁総のように接しているが,ここは大小いろいろの多数の隙間がその中にあることにより,このように名づけられている.その基礎をなすものはグリア細胞とグリア線維とである.

 白質内のグリアは大部分が線維性グリアである(第I巻,図138).上衣線維も白質のグリアの中に進入している(図382).このグリアが髄外套の内面では灰白質と続いており,またその外面ではだんだんとよく発達して,密な薄い1層をなし,この層はもはや神経要素を全く有たず,脊髄の全体を被う一とつづきの被膜を形成している.すなわち,柔膜下層subpiale Schicht, Rindenschicht, Hornspongiosaあるいは浅境界膜Membrana limitans superficialisとよばれるものである(図397).

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最終更新日13/02/03

 

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