Rauber Kopsch Band2. 313   

これらの細胞は1本の突起を送りだし,次いで間もなくその突起が分岐する.そのとき分れた2本の枝が分れる前の幹とともにT字形をなしている(図401).中枢がわの枝がいっそう細いことがしばしばで,これが細胞の神経突起(軸索突起)となっており,これに反して末梢がわの枝は1本の長くて分枝のない樹状突起となっている.

 これらの細胞の神経突起はたがいに相集まって,後根を構成する主要な線維群をなし,後根となって脊髄のなかにはいるのである.

 これらの細胞じしんはそれぞれ特別な1つの結合組織の被膜および鞘細胞の密に集まった1層によって包まれている(295頁参照),この被膜は神経線維の鞘に続いている.この神経線維は,その起りをなす細胞の近くで髄鞘Markhülleおよびシュワン鞘(神経鞘)Schwannsche Scheideを有つようになるが,これらの鞘は結合組織性の原線維鞘の内側にあり,またこの2つの鞘は神経線維から枝分れしたものにも移行している.その分枝は必ず常に絞輪Schnürringのところでおこり,分岐するまでにいつも1~2個の絞輪がみられる(第I巻,図120).

β. 後根の後柱細胞(図399)

 後柱に存在する多極細胞であって,その神経突起が脊髄神経節のなかで終らないで,そこを通りぬけている(いわゆる通過線維“durchtretende Faser”), Ken Kuréによれば,これらの細胞は副交感神経系に属するという.

[図398]孵化9日目のニワトリ幼仔の胸髄の前根細胞と後根細胞

A 前根;・B 後根;C 前根細胞(運動性神経細胞);C 前根細胞の神経突起;D 後根の脊髄内にある部分;e 1本の側枝の起始部,この側枝は!に向かって枝分れしている;g 根線維の側枝からつづく最後の小枝;d 分岐部;E 脊髄神経節;h 双趣神経細胞;i もう1つ別の双極神経細胞であって,これは哺乳類形に似ている(Cajalによる).

2. 索細胞Cellulae funiculares, Strangzellen(図400, 402, 403)

 概説.索細胞はその神経突起を同じがわおよび反対側の脊髄索のなかに送っている.反対側にゆくもめは前交連を通っている(図400, 403).これらの細胞は,定まった1群,すなわち交連性索細胞Kommissurenstrangzellen(しばしば短く交連細胞Kommissurenzellenとも呼ぶ)をなして,前柱の内側部にある.別の索細胞の群は前索,側索,後索のそれである.その神経突起は細胞体あるいは1つの樹状突起の小幹から始まって,索線維Strangfaserとして脊髄索の1つに達して,そこを縦走する線維に次に述べるような2様の形で移行している:すなわち単に折れ曲がって多くのばあい中枢の方に向かってすすむか,あるいはT字形に分れるのである.T字形に分れたものの一方が多くはいっそう太い枝であって,これが上方にすすみ,もう1つのものは下方に進む(図402).また長,短いろいろの索線維があって,これらは脊髄の比較的長い部分あるいは短い部分にわたって延びているのである.索線維の最も長いものはおそらくクラーク柱Clarkesche Sduleの細胞から出る神経突起であって,これは小脳にまで達している.索線維は側枝を有っていないことがしばしばである.

 それぞれの細胞の種類を述べると:

α)交連細胞群Kommissurengrappeの細胞の神経突起は,弓なりに曲がって前交連をへて他側の前索に達している(図400).それが前交連に向かってすすむ途中で,ときどきごく細い枝が,まれにはかなり長い枝がこのものから分れて,灰白質の中にもどってゆく.1つの神経突起が普通よりも早く,その分岐をなしていることがある;その1つの枝は反対側の前索に,他の枝は同側の前索に達している.

β)前索側索に線維を送る索細胞は多数あって,その大部分が灰白質の中間部Mittelfeldに集まっている.これらの細胞はクラーク柱Clarkesche Säulenとして,特別な群を作っている.別の1群が側柱の中にあるが,これはあまりはっきりと分かれていない.

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最終更新日13/02/03

 

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