Rauber Kopsch Band2. 316   

背核の細胞の神経突起は側索の周辺部に達して,そこでひとまとまりの伝導路を作っている.これが後脊髄小路脳Tractus spinocerebellaris dorsalis(フレヒシッヒ束Flechsigsches Bündel)である.後柱の核の細胞および中間部の細胞の神経突起は側索のなかで前脊髄小脳路Tractus spinocerebellaris ventralis(ガワース路Gowerssches Bandel),脊髄視床路および脊髄視蓋路を作る.後柱膠様質の細胞は,その神経突起を辺縁帯,側索の基礎束,後索の基礎束のなかにあたえている.

3. 軸分枝細胞Cellulae axi-ramificatae

 この細胞の神経突起はその起始の近くで,極めてこまかく枝分れしている. 第I巻,図119

 軸分枝細胞の多くのものは後柱の内側部にあり,他のものは中心管の外側にある.後者はその神経突起を前交連を通って,他側の灰白質のなかに送り,ここで枝分れしている.それらの突起は灰白質の領域を越えてその外に出ない.

B. 前根および後根

1. 前根Radices ventrales, ventrale Wurzeln(図381, 398, 400, 402)

 (運動性の)前根線維Fila radicularia ventraliaは同側の前柱の大きな運動性の細胞および同側の側柱細胞の神経突起である.それゆえ運動性根の起始核は同側の前柱細胞および側柱細胞である.

2. 後根Radices dorsales, dorsale Wurzetn(図381, 398402)

 (知覚性の)後根線維Fila radicularia dorsaliaは脊髄神経節の細胞の中枢がわの突起(求心性afferent, 体知覚性somatosensibelの線維)および若干の後柱細胞のだす遠心性突起よりなっている(図399)が,後者は脊髄副交感神経系に属している.後根の走行は前根のそれよりもはるかに複雑である.その線維の集りはたがいに横の方向に散らばる形をなしてブルダッハ索に入り,全体として比較的小さい外側部といっそう大きい内側部とに分れる(図381).その外側の線維群は後柱膠様質のすぐうしろにならんで縦走するようになる.また最も外側にある線維群は辺縁帯をなしている.強い内側の線維群は軽く弓なりに曲がって内側にすすみ,その一部はブルダッハ索のいろいろな部分に入り,また一部は同側の後柱の灰白質に達し,あるいは(後交連を通って)他側に達している(図400, 405).

 脊髄のなかに入ってきた線維はそれぞれ2本の枝に分れ,その太い方の枝は上方に向かって走り,細い方の枝は下方に向かって走る.上方に走る枝のうち,一部のものだけが延髄に達し,他のものはそれより段々と短い距離で終わっている.それに従って長い線維lange Fasern oder Bahnenと短い線維kurze Fasern oder Bahnenを区別する.下方に向かって走る枝はみな短いのである.1つの根に属する線維はたがいに密接して並んでいるので,変性の時にははっきりと境された部分で見えるのである.それは横断面ではコンマの形をしていて,シユルツェのコンマSchultzesches Komma(コンマ束Kommabündel)と呼ばれる.これらの枝からは,数多くの細い側枝Kollateralenがでて直角に灰白質の中に入る.上行および下行する両枝の末端は終末側枝terminale Kollateraleとなって灰白質の中に入っている.そのうえにまだ分岐していない線維からも少数の側枝が出ることがあって,この側枝は灰白質の内部で終末分枝Telodendron, Endbdumchenとなって終わっている.

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最終更新日13/02/03

 

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