Rauber Kopsch Band2. 317   

 終末分枝の末端はこの章の初めに(291, 292頁)記したぐあいに,その興奮をいろいろな2次ニューロンに伝える.それゆえ知覚性の1次ニューロンが達する領域は,その長さからいうとはなはだ広い範囲にわたるのである.

 さらに判ることは,後索の全域はその大部分が後根線維の上行および下行する縦走の枝よりなっているということである.これに後索細胞からの線維がわずかに混入しているにすぎない.(C. II~Th. Vの高さの)ゴル索は延髄にまで達する長い線維だけをもち,(Th. IV~C.1の高さの)ブルダッハ索は短い線維と長い線維とをもっている.

 後根線維の終末分枝は脊髄の同側半の灰白質のほとんどあらゆる点に散在している,知覚性側枝の小部分は後交連をへて反対側に行き,その後柱のなかで同側に塾けると同じように終わっている.灰白柱の中央部では終末分枝が最も多く見られる.後柱がもっている数多くの神経細胞ははなはだ細かい分枝系Astsystemによって密に包まれており,特にクラーク柱の細胞のまわりに終末分枝がよく発達している.

 知覚性の側枝のうちで,特に運動性の前柱細胞にまで達して,これに接して終末分枝をなすものは特別な注意を要するのである.これはいわゆる反射側枝Reflexkollateralenである.知覚性の神経線維の興奮がこの側枝を通って直接に運動性の細胞にゆき,脳にまで達することなく,この運動細胞から筋に伝えられる(図405).

 生理学的にみると,前根は主として骨格筋の運動を支配する線維を含み,そのほかに血管運動線維および汗の分泌をつかさどる線維をもっている.後根は主として知覚性(圧覚,痛覚,冷覚,温覚,筋感覚)の線維を含み,そのうえに体肢にゆく血管拡張線維をもっている.

 (Th. IIでしらべた結果)後根および前根において細い神経線維と太いそれとの数が「ほとんど完全に」一致している(Schi-Hjau Hjlang, Acta anat.,11. Bd.,1950).

[図401]1個の知覚性ニューロンの構造

[図402]脊髄の一部を切りだして,そこで多数の運動性ノイロシと1個の知覚性ニューロンと1個の索細胞とが連絡する関係

矢印は興奮の伝わる方向を示す.(Köllikerによる).

C. 前索および側索(図405)

 前索と側索のなかには数多くの線維が集まっており,その一部は下行し,一部は上行している.灰白質に接している狭い部分には,主として索細胞の神経突起がある.この部分は前索基礎束Vorderstrangyrundbündelおよび側索基礎束Seitenstranggrundbündelと呼ばれる.

S.317   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る