Rauber Kopsch Band2. 319   

 網様体Formatio reticularisのなかにも少数の索細胞が散在している.

 背核Nucleus dorsalis(クラーク柱Clarkesche Säule)は多数の神経細胞とブルダッハ索からの多量の知覚性の側枝を含んでいる(図400).その神経細胞からでる神経突起は灰白質および側索を横の方向に貫いて進み,上行性の脊髄小脳路を作る(図405).

 後柱の細胞の多くは群をせず,まばらに存在する.後柱の頭部にある中心細胞(図381)は,後柱の核Kernder Hintersäuleとも呼ばれる,その神経突起は弓状線維Bogenfasernをなして灰白質を通り,白前交連のなかで交叉し,前索内を外側に走って側索の前方部を前脊髄小脳路Tractus spinocerebeUaris ventralisおよび脊髄視床路Tractus spinothalamicusとして上行している.その細胞の中のいくつかは後根の起始細胞である.その他の細胞は側索に突起を出す索細胞,また少部分は後索に突起を出している.そのうえ後柱の基部の内側部には多数の軸分枝細胞がある.大量の側枝が後柱の中に入っている.それは特に後索から出るものが多いが,側索から出て後柱に入るものも多い.

[図403]白前交連の線維の起始と走行 2,3本の知覚性側枝の走行(Köllikerによる).

 脊髄の白質の中の線維群である脊髄の伝導路Tractus medullae spinalisには,長いの短いのとがある.

 長い伝導路lange Bahnenは脊髄の全長を通って脳にまで達している.短い伝導路leurze Bahnenは脊髄のなかを長,短いろいろな距離にわたって走るが,脊髄の全長あるいはその大部分にわたることはない.頚髄では短い伝導路でも延髄に達し,また逆に脳から出る短い伝導路も頚髄には達するのである.

 線維の種類の分け方にいま1つ別のものがある.これは初めに述べたのと全く一致するものではない.その分け方というのは:

a)下行性の線維absteigende Fasern,その起始細胞は脳のなかにある:1. 前皮質脊髄路Tractus corticospinalis ventralis,あるいは錐体前索路Pyramiden-Vorderstrang-Bahn;2. 外側皮質脊髄路Tractus cortico-spinalis lateralis,あるいは錐体側索路Pyramiden-Seitenstrang-Bahn;3. 赤核脊髄路Tractus rubrospinalis,すなわちモナコフ束Monakows Bündel;4. 前庭脊髄路Tractus vestibulospinalis;5. 網様体脊髄路Tractus reticulospinalis;6. 内側縦束(後縦束)Tractus longitudinalis medialis, mediales Längsbündel;7. 視蓋脊髄路Tractus tectospinalis;8. 室頂[]脊髄路Tractus fastigiospinalis;9. オリーブ脊髄路Tractus olivospinalis;10視床脊髄路Tractus thalamospinalis.

b)上行と下行両性の線維auf-und absteigende Fasern,これは脊髄神経節のなかにその起始細胞をもち,一部が脳にまで達する:1. 後索Fasciculus dorsalis, Hinterstrangは内側部と外側部(ゴル索とブルダッハ索)とよりなる.

c)索細胞から出る上行と下行両性の伝導路auf-und absteigende Strangzellenbahnen;これらは一部はすでに脊髄のなかで終り,一部は脳に達して終る.その神経突起からなる長い伝導路は次のものがある:1. 後脊髄小脳路Tractus spinocerebellaris dorsalis, dorsale Seitenstrang-Kleinhirn-Bahn(Flechsig);2. 前脊髄小脳路Tractus spinocerebellaris ventralis,ガワース路Gowerssches Bündel;3. 脊髄視床路Tractus spinothalamicus(Edinger)と脊髄視蓋路Tractus spinotectalis;4. 脊髄オリーブ路Tractus spinoolivarisとオリーブ脊髄路Tractus olivospinalis(ヘルウェク三稜路Helwegs Dreikantenbahn);5. 後索下行路Tractus descendens dorsalis.索細胞から発する短い線維は前索の基礎束,側索の基礎束および後索の腹方部をなしている.

 これらすべての伝導路の起始, 走行および終止について以下に述べることにする.これらの伝導路のうちで脊髄に属さない部分のことは,ここでは当然ごく簡単に触れるだけにとどめる.その部分については後にそれぞれ相当した個所でさらに詳しく述べる.

a)下行性の伝導路absteigende Bahnen;

1. 前皮質脊髄路Tractus corticospinalis ventralis(錐体前索路Pyramiden-Vorderstrang-Bahn).これは大脳皮質の運動領にある大きな錐体細胞の神経突起よりなる(図404).延髄においてはこれらの神経突起がいわゆる錐体を作っている.

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最終更新日13/02/03

 

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