Rauber Kopsch Band2. 322   

 脊髄に入つた線維の半分より多い部分が内側にすすみ,中間の部分は直接に後柱の灰白質に達し,外側の部分は辺縁帯に移行している(図400, 405).

 ブルダッハ索の外側部では根線維が入ってくるのでここを後根進入帯Wurzeleintrittszoneという.

 脊髄に入つた根線維は白質の内部でそれぞれ1本の(短い方の)下行枝と1本の(長い方の)上行枝とに分れる.

 一つの根に属する数多くの線維の下行枝(図400402)はたがいに密接してならび,ひとまとまりの束をなし,これが横断面ではコンマ状に見えるので,シュルツェのコンマSchultzesches Kommaと呼ばれている(図405).その上行枝はいろいろな距離にわたって上方に走り,長短いろいろの経過の後に終わっている.それらの中で最も長いものは延髄にまで達して,そこで後索内側部核および後索外側部核で終るのである.その他の下行枝は後索下行束Fasciculus descendens dorsalis(後索の卵円部ovales Hinterstranyfeld)をなす.

 上方に向かって走るあいだに上行枝の中の長いものはいっそう上方の高さにおいて入ってくる後根の線維によって次第に内側に後正中中隔に向かって押しやられる.かくしてゴル索Gollscher Strangが生ずるのである.

 ゴル索は脊髄の下部(およそ第4胸髄まで),すなわち体幹の下半からの(知覚性の)長い線維からなり,これを延髄の後索内側部核にみちびいている.

 ブルダッハ索は,その全経過にわたって(知覚性の)長短両方の線維をまじってもっている.その頚髄にある部分は体幹の上半からの長短両方の線維を延髄の後索外側部核に導いている.

 上行枝と下行枝から側枝と終枝が脊髄の灰白質の中に入り,そこで同側および他側性にいろいろな場所に終わっている.これらは前柱の運動性の細胞,後柱核およびクラーク柱の細胞およびその他の索細胞に達する(図400, 402, 405).

c)索細胞より出る上行性および下行性の伝導路.

1. 後脊髄小脳路Tractus spinocerebellaris dorsalis(Flechsig), dorsale Seitenstrang-Kleinhirn-Bahn(図400, 405).これは背核(クラ一ク柱)の細胞の神経突起よりなり,横の方向にすすんで側索の周辺部に達し,そこで上方に曲がって1つの束をなし,まず延髄にいたり,さらに(索状体を介して)小脳の虫部に達する.その線維は走行の途中に側枝を灰白質に送っている(図400).

 脊髄小脳路は第2あるいは第3腰髄の高さで生ずる.前に述べたようにクラーク柱はそれより下方には達していないのだから,それは当然なことである.この高さから上方にすすむにつれて後脊髄小脳路は新たに線維が加わることによって絶えずその強さを増す.そして錐体側索路の外側で側索の周辺部に狭い帯をなし,辺縁帯からおよそ歯状靱帯の起るところまでの範囲にある.腰髄ではじまる線維は辺縁帯に接しており背核の上部からおこる線維はこの伝導路の腹方部をなしている.

2. 前脊髄小脳路Tractus spinocerebellaris ventralis, ガワース路Gowerssches Bündel.これは横断面では半月形あるいはコンマ状の幅の狭い束として側索の周辺の一部をなし,後脊髄小脳路の前方にある(図381, 400, 405).その線維は前柱や灰白質の中間部の索細胞および後柱の核から出る神経突起である(図400, 403, 405).これらは同側性に,あるいは白前交連のなかで交果して反対側の側索の上述の場所に達する.そこで上方に曲り,新たに線維が加わって絶えず増大しつつ延髄,橋および結合腕を通って小脳の虫部に達する.

3a. 脊髄視床路Tractus spinothalamicus(Edinger)は後柱の細胞からおこ線維の束で,この線維群は前交連を通って反対側の側索でガワース路の内側に達している.そこで上方に曲がって延髄および橋を通り視床まで進む.これは痛覚および温度覚を伝える.

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最終更新日13/02/03

 

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