Rauber Kopsch Band2. 352   

E.終脳 Telencephalon, Endhirn

 終脳は次の各部よりなる:

1. 左右の大脳半球Hemisphaeria,両側にある対称的な半球形の部分,

2. 第三脳室終板Lamina terminalis(346頁)と,脳梁Corpus callosumと前交連Commissura rostralis,これらは両側の大脳半球をたがいに結びつけている.

 脳の他の部分との結合:

 伝導路Leitungsbahnenを問題外とすれば,終脳はすぐ接している所の間脳とだけ続いている.それゆえメスを加えてない脳では,背方から見ると終脳以外のものは全く見えず,したがって終脳以外の部分の背側面を見るためにはこれを被っている終脳の部分を取り除かれなければならない(図407, 411, 414, 418, 422を比較されたい).

 位置.左右の大脳半球は,その底が前頭蓋窩および中頭蓋窩のなかにあり,また後頭蓋窩の天井をなす小脳天幕の上にもあり,頭蓋の円蓋部にまでも達する腔所をほとんど完全に占めている.

 .両側の大脳半球のあいだを分ける深い裂け目は中央の部分では脳梁の上面にまで達し,脳梁の下では脳弓にまで達しており,脳梁の前方および後方では特にさえぎるもののない深い切れこみとなっている.この裂け目は半球間裂Fissura interhemisphaericaと呼ばれる,これに対して終脳間脳裂Fissura telodiencephalicaと名づけられる裂け目は大脳と小脳とのあいだにうしろから入り込んでいる大きな水平方向のものである.

 おのおのの大脳半球には次の3面を区別する:すなわち,1. 大脳凸面Facles convexa,これは矢状方向に延び且つ横の方向にふくらんだ面で背外側面dorsolaterale Flächeである.2. 大脳底面Facles basialis,これはわずかにへこんだ脳底面basale Flächeである.3. 半球内側面Facles medialis hemisphaerii,これは垂直方向で,平らな内側面mediale Fläche,あるいは内側壁mediale Wandである.

 各面の移行する縁はあるいは強く,あるいは弱く円味を帯びていて,大脳半球の稜Kantenと呼ばれ,これに次のものを区別する:すなわち,1. 背側稜dorsale Kante, Mittelkante,これはしばしば外套稜Mantelkanteとよばれる.2. 底側稜basate Kante,脳底において前者の続きをなして内側にあるもの.3. 外側稜taterale Kanteである.

I. 大脳半球の外面

 各大脳半球においては,次のものが区別される:すなわち,脳幹の末端に接している幹部Stammteilとそれを除いた残りの外套部Mantelteilとである.

大脳半球の幹部Stammteilは嗅脳RhinencephalonとInselとよりなる.

 大脳半球の外套部Mantelteilは前下方に開いた輪のような形で幹部をとり囲んでいる.これは場所によっていろいろな部分に分けられる:すなわち前頭葉Stirnlappen,頭頂葉Scheitellappen,後頭葉Hinterhamptlappenおよび側頭葉Schläfenlappenである.

A. 大脳半球の幹部
1. 嗅脳Rhinencephalon, Riechhirn

 嗅脳の後方部は嗅野Area olfactoriaである.その表面は平坦で,灰白色を呈し,血管によって貫かれる数多くの孔がある.その灰白質は背方はレンズ核と続いている.嗅野が存在する所の浅いへこみは外側大脳谷Vallecula cerebri lateralisと名づけられる.

 嗅三角Trigonum olfactoriumは浅い1本の溝のみによって嗅野から分けられている.ここから嗅溝Sulcus olfactoriusという深い1本の溝が前頭葉に属して前方に4cm延びていて,嗅脳の最も前方の2部分,すなわち嗅索Tractus olfactoriusと嗅球Bulbus olfactoriusとがこの溝のなかにある(図409, 417, 420).嗅球は長さ8~10mm,幅3~4 mm,厚さ2~3 mmの膨らんだ部分で灰白色を呈する.ここから多数の嗅糸Fila olfactoriaが出て鼻腔の嗅部の粘膜に達する.

 嗅索は3つの稜をもち,2本の白い髄質の条を示している.これが内側嗅条Stria olfactoria medialisと外側嗅条Stria olfactoria lateralisとである(図420).

内側嗅条は嗅三角の内側の稜に沿って嗅傍野Area adolfactoriaに達するが,外側嗅条は嗅三角の外側の稜に沿って外側大脳裂の入口に達し,そこでいわゆる島限Limen insulaeをなし,海馬傍回の前端部に達する.いま述べた内側と外側の嗅条のあいだにある中間嗅条Stria olfactoria intermediaは嗅野の実質内で見えなくなる.

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最終更新日13/02/03

 

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