Rauber Kopsch Band2. 355   

 変異:(日本人の嗅球の大きさは成人では長さ10.42±0.05mm,幅男5.97±0.03 mm,女4.48±0.04 mm,高さ2.27±0.03mm,新生1見ではそれぞれ9.45±0.16 mm,4.20±0.10mm,2.00±0.05 mmである. (小川鼎三,細川宏:日本人の脳.104,1953))嗅脳は全部あるいは一部欠如していることがある.1929年までにそういうのが約13例記載された.その場合には,節板が小さくて,矢状方向に小さくなったトルコ鞍には小さい下垂体が入っており,また甲状腺も小さくて類宦官症のからだ付きが見られた(Mirsalis, Anat. Anz., 67. Bd.,1929).

2. 島Insula, lnsel(図415, 417, 418, 420, 422, 434)

 島は1つの大きな隆起で,輪状溝Sulcus circularis(図415)という溝に取りまかれており,その最も突出した場所は島の極Inselpol(日本人脳20例(40側)の調査により,島極はF. O. L. 上F.O.M. の前方15 mm,かつその外側8mmにあり,島回の数7を示すもの14側,5を示すもの11側である.また島極に脳溝1をもつもの28側であった.(Shimada, K. : Beiträge zur Anatomie des Zentralnervensystems der Japaner. Folia Anatomica JAponica. Bd.12, 423~444,1934).)と名づけられている,前下方には嗅野に対する境として島限Limen insulaeとよばれる軽い高まりがある.

 島は5~9本の島回Gyri insulae, Inselwindungenに分かれて,これらの回転は島極から扇形に広がっている.島短回Gyri breves insulaeという前方にある回転と後方の島長回Gyrus longus insulaeとが区別される(図415).

 島を被って円くもり上つている大脳半球の部分は島の弁蓋Deckelとよばれる.その背側部は頭頂弁蓋Operculum parietaleといって最も強大であり,これは前頭葉の一部と頭頂葉の一部からなる.その次に広いのが側頭弁蓋Operculum temporhleであり,最も短いのは前頭弁蓋Operculum frontaleである.

B. 大脳半球の外套部Pallium, Mantelteil
I. 大脳外套部の溝(大脳溝)Sulci cerebri

a)大脳の各葉を分ける溝

 大脳の大きな4つの葉Lobi cerebriを区切る4つの溝がある,すなわち外側大脳裂Fissura cerebri lateralis,中心溝Sulcus centralis,横後頭溝Sulcus occipitalis transversus,頭頂後頭溝Sulcus parietooccipitalisである.これらの溝が前頭葉Lobus frontalis, Stirnlappen,頭頂葉Lobus parietalis, Scheiteltappen,後頭葉Lobus occipitalis, Hinterhaupttappen,側頭葉Lobus temporalis, Schldfenlappenをたがいに分けている.

1. 外側大脳裂Fissura cerebri lateralis, シルヴィウス溝Sylvische Furche(図406, 409)

 外側大脳裂は脳底にある横向きのへこみの外側大脳谷Vallecula cerebri lateralisの外側端に始まり,短い距離だけ外側上方に走り,次いで次の3枝に分れる:

a)後枝Ramus occipitalisが最も長くて,これはほとんど水平に走り,島の長さの1倍半ほど延びていて,その末端部は背方に曲る.b)上行枝Ramus ascendensは短い距離だけほとんど垂直に上行する.c)前枝Ramus frontalisは後枝と同じ向きであるが逆に前方に進む.上行枝と前枝とは下前頭回に切れこんでいる.

2. 中心溝Sulcus centralis(図406, 407)

 中心溝は外套稜のおよそ中央から外側かつ前方に走り,外側大脳裂の後枝の前方部に向かっているが,これに完全に達するということはないものである.

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最終更新日13/02/03

 

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