歴史的な偉大な解剖学書
変異:(日本人の嗅球の大きさは成人では長さ10.42±0.05mm,幅男5.97±0.03 mm,女4.48±0.04 mm,高さ2.27±0.03mm,新生1見ではそれぞれ9.45±0.16 mm,4.20±0.10mm,2.00±0.05 mmである. (小川鼎三,細川宏:日本人の脳.104,1953))嗅脳は全部あるいは一部欠如していることがある.1929年までにそういうのが約13例記載された.その場合には,節板が小さくて,矢状方向に小さくなったトルコ鞍には小さい下垂体が入っており,また甲状腺も小さくて類宦官症のからだ付きが見られた(Mirsalis, Anat. Anz., 67. Bd.,1929).
島は1つの大きな隆起で,輪状溝Sulcus circularis(図415)という溝に取りまかれており,その最も突出した場所は島の極Inselpol(日本人脳20例(40側)の調査により,島極はF. O. L. 上F.O.M. の前方15 mm,かつその外側8mmにあり,島回の数7を示すもの14側,5を示すもの11側である.また島極に脳溝1をもつもの28側であった.(Shimada, K. : Beiträge zur Anatomie des Zentralnervensystems der Japaner. Folia Anatomica JAponica. Bd.12, 423~444,1934).)と名づけられている,前下方には嗅野に対する境として島限Limen insulaeとよばれる軽い高まりがある.
島は5~9本の島回Gyri insulae, Inselwindungenに分かれて,これらの回転は島極から扇形に広がっている.島短回Gyri breves insulaeという前方にある回転と後方の島長回Gyrus longus insulaeとが区別される(図415).
島を被って円くもり上つている大脳半球の部分は島の弁蓋Deckelとよばれる.その背側部は頭頂弁蓋Operculum parietaleといって最も強大であり,これは前頭葉の一部と頭頂葉の一部からなる.その次に広いのが側頭弁蓋Operculum temporhleであり,最も短いのは前頭弁蓋Operculum frontaleである.
a)大脳の各葉を分ける溝
大脳の大きな4つの葉Lobi cerebriを区切る4つの溝がある,すなわち外側大脳裂Fissura cerebri lateralis,中心溝Sulcus centralis,横後頭溝Sulcus occipitalis transversus,頭頂後頭溝Sulcus parietooccipitalisである.これらの溝が前頭葉Lobus frontalis, Stirnlappen,頭頂葉Lobus parietalis, Scheiteltappen,後頭葉Lobus occipitalis, Hinterhaupttappen,側頭葉Lobus temporalis, Schldfenlappenをたがいに分けている.
1. 外側大脳裂Fissura cerebri lateralis, シルヴィウス溝Sylvische Furche(図406, 409)
外側大脳裂は脳底にある横向きのへこみの外側大脳谷Vallecula cerebri lateralisの外側端に始まり,短い距離だけ外側上方に走り,次いで次の3枝に分れる:
a)後枝Ramus occipitalisが最も長くて,これはほとんど水平に走り,島の長さの1倍半ほど延びていて,その末端部は背方に曲る.b)上行枝Ramus ascendensは短い距離だけほとんど垂直に上行する.c)前枝Ramus frontalisは後枝と同じ向きであるが逆に前方に進む.上行枝と前枝とは下前頭回に切れこんでいる.
2. 中心溝Sulcus centralis(図406, 407)
中心溝は外套稜のおよそ中央から外側かつ前方に走り,外側大脳裂の後枝の前方部に向かっているが,これに完全に達するということはないものである.
最終更新日13/02/03