Rauber Kopsch Band2. 362   

その背側端は脳梁膨大に接していて刻み目をもたず,小帯回Gyrus fasciolarisと呼ばれる.小帯回には脳梁の縦条Striae longitudinalesがつづいている.

 歯状回が鈎に接して終るところから鈎小帯(ジアコミニ縁帯)Uncus-Bändchen(Giacomini)という帯状の薄い条がはじまり,鈎の外側面の上を越えてその内側面に続き,ここで厚さがますます減じて見えなくなる(図435).

II. 大脳半球の脳室面

 終脳の内部の表面,あるいは脳室面というのは大脳半球の内部に含まれる腔所,すなわちすでに述べたことのある側脳室Pars lateralis ventriculi telencephali, Seitenventrikelの諸壁のことである.

[図438]金属を用いて作つた脳室系の鋳型標本 左側からみる.(9/10)

 胎生期の終脳内の腔所である終脳室Ventriculus telencephaliは正中にあって対をなさない終脳室不対部Pars impar ventriculi telencephaliという部分と左右の側脳室Pars lateralis ventriculi telencephaliとよりなる.終脳室不対部は成人の脳においては,両側の室間孔のあいだにある第三脳室の前方部であり,この関係からまた第三脳室終脳部Pars telencephalica ventriculi tertiiとも呼ばれるが,他方それより後方のいっそう大きな部分は第三脳室間脳部Pars diencephalica ventriculi tertiiである.

 大脳半球の4葉のそれぞれに側脳室の一部が相当している.側脳室の前頭角Cornu frontale, Vorderhornは前頭葉のなかにあり,頭頂部Pars parietalis(中心部zentraler Teil)は頭頂葉のなかに,後頭角Cornu occipitale, Hinterhornは後頭葉のなかに,側頭部Pars temporalis(下角Unterhorn)(原著および慣用に従い側脳室の側頭部を簡単に下角とよぶことにする.(小川鼎三))は側頭葉のなかにある.

 側脳室はただ1つの場所すなわち室間孔Foramen interventriculareのほかはどこも閉じている.

 図438は金属を用いて作った脳室の鋳型標本を画いたものであるが,この図では第三脳室は短い柄,つまり室間孔にあたる部分によって側脳室とつながっている.第三脳室は後方に向かっては中脳水道に続き,中脳水道は第四脳室に続いていて,後者は側方への膨出部,すなわち左右の外側陥凹Recessus lateralesをもっている.側脳室においては前頭角が他の部分にくらべて太い前方の膨出部であり,側頭部は下方へ広がった大きい突出部をなし,後頭角は小さい後方への突出部をなしている.室間孔から側頭部と後頭角の結合するところまで,つまり側脳室の中央を占める部分が頭頂部Pars parietalisである.

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最終更新日13/02/03

 

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