Rauber Kopsch Band2. 365   

 その腹方面は水平であって,レンズ核係蹄に接し,その中央部では嗅野の灰白質と続いている.それゆえレンズ核の横断面は楔形をした三角形であり,この楔の刃は大脳脚に向かっている.

 新鮮な標本においては色調の違いによって横の方向に相ならんでいる3つの部分,すなわちレンズ核の節Gliederが認められる.外節äußeres Gliedは最も長くて,他の2つよりいっそう前方および後方に延びている.外節は赤褐色を呈して,細い白いすじによって貫かれている.これを被殻Putamenと呼ぶ.内側にある両節は色が淡く,灰黄色である.この両節を合して淡蒼部(淡蒼球)Pars palhdaという.淡蒼部は内包を貫く結合条によって黒核(黒質)とつづいている.レンズ核の腹方面,すなわちその底の前方部は前交連と交叉し,かつこのために1つの溝を生じている.

3. 前障Claustrum, Vormauer(図430, 431434, 436)

 この核は[レンズ核]外包のなかにあって,1~2mmの厚さをもつ狭い灰白質の1枚の板である.この板は腹方に向かって2倍にまで厚さを増し,ここで嗅野および扁桃核と,また外側嗅条とも続いている.その内側面はなめらかであり,外側面はところどころ隆起線のように突出している.前障は島皮質の一部が分れたものである.

4. 扁桃核Nucleus amygdalae, Mandelkern(図432)

 側頭葉の先端(側頭極)の近くで,下角の前端の前にあって,海馬足の前方にある1つの高まりとして下角の腔所に向かって突出し,また大脳半球の白質に向かっても突出している.この核は海馬傍回の皮質と続き,嗅野および前障とも続いている.

IV. 終脳の白質

 白質すなわち髄質部は皮質と上述の諸核とのあいだおよび脳室上衣とのあいだを占めて強大な線維団をなしている.

 髄質部が最も幅広くみえるのは脳梁の背側面を通る水平面である.この断面では卵円形の大きな白い領域,すなわち半卵円中心Centrum semiovale(図411)がみられる.その外面には豊富な突出部があり,これは髄質稜Markleistenとして皮質の高まりの裏がわのへこみにはいりこんでいる.また半卵円中心は内側縁では脳梁の広がりに一致してその線維団に直接に移行している.髄質の全体を構成するものには線維の流れぐあいのちがいによって3種が区別される:それは,1. 連合神経路,2. 交連神経路,3. 投射神経路すなわち脳脚系Hirnschenkelsystemeである.これらはみな中枢神経系の伝導路Tractus systematis nervorum centralisに属する.

1. 連合神経路Tractus nervvosi associaionis, Assoziationssysteme(図439)

 連合神経路はいろいろな配置をしている大小種々の線維束であって,同一の大脳半球のなかで遠くあるいは近くへだたった灰白質の領域のあいだを結合している.

 A. 大脳皮質の異なる部分のあいだの結合.

a) 短い結合:

α. 弓状線維Fibrae arcuatae.これは1つの回転から出て弓なりに曲がって隣接する別の回転に達している;

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最終更新日13/02/03

 

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