Rauber Kopsch Band2. 369   

その中央部は側方では前方に軽く凸をなす弓状部につづき,この弓状部はそのうしろにある視索の走向にほとんど平行して走っている.

 前交連は嗅野の内部およびレンズ核の底(レンズ核はこのもののために1つの溝を生じている)において,弓なりに曲がって外側方,後方,および下方に走って,その諸部は脳梁放線が分布していない大脳皮質の諸領域に達している.つまり側頭葉の大きな部分と後頭葉の底部と嗅葉とである.嗅葉に分布する前交連の線維は人では貧弱なものに過ぎないが, これが左右嗅索の根部をたがいに結合している.それゆえ前交連の前部Pars anteriorと後部Pars posteriorとが区別される(図440).

[図443]放線冠の線維像(線維束分離標本) (2/3)

3. 投射神経路Tractus nervosi projectionis, Projektionssysteme

 投射神経路は一部は遠皮質性corticofugal,一部は求皮質性corticopetalの結合であって,これは両側の大脳半球の灰白質をいっそう下方にある脳の諸部および脊髄と結合させている.

 大脳脚の線維群は視床の腹方面に接して尾状核に被われて終脳に入る.それは3つの大きな核(視床,尾状核,レンズ核)のあいだにあって,ここは[レンズ核]内包Capsula interna nuclei lentiformis, innere Kapselと呼ばれる.この線維団は内包をへて背外側方に走り半卵円中心の髄質団のなかに入りこみ,その一部を構成している.大脳脚が大脳皮質の全領域に広がるところを放線冠Corona radiata, Stabkranzと呼ぶ(図443).放線冠には前頭部Pars frontalis,頭頂部Pars parietalis,側頭部Pars temporalis,後頭部Pars occipitalisが区別される.内包の下部では大脳脚の線維群が密集して,しかもそれがなお灰白質のすじに貫かれており,このすじは黒核とレンズ核淡蒼部(淡蒼球)とを結合するものである.

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最終更新日13/02/03

 

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