Rauber Kopsch Band2. 372   

b)後頭側頭部(後頭側頭橋核路)Pars occipitotemporalis(occipitotemporale Brückenbahn) (チュルク束Türcksches Bündel)はFlechsigによれば上側頭回の皮質から起り,内包の後脚を通り,大脳脚の外側1/5を占めて,橋核の背方部に終る.

5.脳神経の根

 脳神経というのは左右対称的に順序をなして脳の内部から起り,あるいは脳の外にある特別な神経節から始まって,一定の場所で脳の表面に達する線維索であって,頭部から腹部内臓にまで及ぶひろい末梢領域にいたるものである.

脳神経が脳から出る場所(図409, 417)

I. 嗅糸Fila olfactoriaは多数あって,嗅球の下面で発している.

II. 終神経N. terminalisは嗅球の後方で出ている.

 終神経がおそらく受容性の神経であろうということは,この神経が双極神経細胞を有った神経節を伴なうことから知られる.これは末梢では鼻腔の内部に分布する.C. Brookover, Journ. Comp. Neurol.1914.

 視索Fasciculus opticus, Augenstielは脳神経ではなく,末梢に位置を変えた脳の一部である網膜と,脳とのあいだの連合神経路である.

III. 動眼神経N. oculomotoriusは中脳の動眼神経溝において9~12本の神経束に分れて,大脳脚と被蓋とのあいだで脳をでてゆく(図410).

IV. 滑車神経N. trochlearisは2本あるいはそれ以上の細い神経束をなしていて,それらが間もなく1つにまとまって,脳の背方面から出る唯一の脳神経として外に出てくる.その出る場所は前髄帆の側縁であって,前髄帆小帯の外側,四丘板のすぐうしろである(図428).

 滑車神経はまず側方にすすみ,次いで結合腕と大脳脚とを廻って腹方に走り,脳底にあらわれる.

V. 三叉神経N. trigeminusは大部Portio majorとよばれる約50本の知覚性の根束と小部Portio minorという1本の運動性の根とをもって,橋と橋腕とのあいだの境,すなわち三叉神経-顔面神経線で脳の表面に現われ,しかもこの縦の線の上1/3と中1/3との境で表面に出る.

VI. 外転神経N. abducensは橋を錐体から分けている横の溝において顔面神経より内側で脳の表面に現われる.

VII. 顔面神経N. facialisは橋の下縁で,橋と橋腕との境界すなわち三叉神経-顔面神経線の下端で,橋腕とオリーブとのあいだの溝において内耳神経の内側で後脳を出てゆく.

VIII. 内耳神経N. statoacusticusは橋の背方で,顔面神経の外側においてその大部分の線維が索状体Corpus restiformeと延髄の側索のあいだの溝の側方で索状体から出ている.

IX. 舌咽神経N. glossopharyngicusは延髄の後外側溝の上部で脳から出る.

 5~6本の根束をなして出て,それがまもなく2本の小幹にまとまる.最も上方にある根は顔面神経の根と内耳神経の根とのあいだ,且つそのうしろで表面に現われる.迷走神経と舌咽神経の根束は直接に接し合っているので,両者はそれらの幹の方からだけ分けることができる.

X. 迷走神経N. vagusは10~15本の束をなして延髄の後外側溝から外に出る(図409, 417).

S.372   

最終更新日13/02/03

 

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