Rauber Kopsch Band2. 377   

この大きな腔所の中にさらにいくつかの部分が区別できる.漏斗から始まって両側の動眼神経が出る場所まで達する不完全な隔壁によって前方の交叉槽Cisterna chiasmatisと後方の脚間槽Cisterna intercruralisとが分けられている.視神経交叉の前上方には終板槽Cisterna laminae terminalisがある.これに続いて背方には脳梁槽Cisterna corporis callosiが脳梁の凸面に沿って存在する.外側大脳谷と外側大脳裂のところには外側大脳谷槽Cisterna valleculae lateralis cerebriがある.また迂回槽Cisterna ambiensが大脳脚を回って上方に脳幹の背側面へと延びて,これは四丘板をも囲み,脳梁の上にまで続く.大大脳静脈の周りに大大脳静脈槽Cisterna venae cerebralis magnaeがある.

[図448]脳皮質とこれに入る血管との関係を示す断面図(半模型的)

KeyとRetziusの図にもとづいて画いてある.v, v', v'毛細血管,vまだクモ膜下腔の内部にあるもの;5 クモ膜小梁と小膜;P 柔膜の内膜Intima pia,これは脳内に進入する血管の外膜鞘にロート状をなして続いている;a. p. 外膜性の血管周囲腔;Pe ヒス血管周囲腔Hisscher Perivasculdirer Raum と ep, ep いわゆるepicerebraler Raum(脳表面腔)とはおそらく人工産物であろう.

[図449]脳膜顆粒の1つとその被膜とを模型的に表わしたもの

co 大脳半球の灰白皮質;p 柔膜内膜Intima pia;sa クモ膜小梁をもったクモ膜下腔,これが脳膜顆粒加にそのまま続いている;a クモ膜;sd硬膜下腔;sd'脳膜顆粒の硬膜下腔,これは脳膜顆粒の細い柄の周りでsdとつづいている;d硬膜の内板,これは静脈腔ηにより外板のdiから隔てられている;ds脳膜顆粒の硬膜鞘

 脳の比較的太い血管はクモ膜下腔のなかを走る.それより細い枝になると柔膜の外面に達してこれに固く着いて,これからは柔膜血管Piagefäßeと呼ばれる(図448).

 クモ膜は(顕微鏡的には)多少とも密集した結合組織束の網目構造からなり,これらの束が両面を内皮で被われた薄い膜をなして広がっている.

脳膜顆粒Granula meningica[以前はパツキオニクモ膜顆粒Granulationes arachnoidales(Pacchioni)と呼ばれた].

 これはクモ膜のもつ特別な構造物であって,膨れた棍棒状をなしていて血管をもたない特有なものである.すなわち蜘継膜絨毛arachnoidale Zotten,パッキオニ顆粒Pacchionische Granulationenなどと呼ばれた.その完成したものは硬膜組織のなかにいろいろな深さに入りこみ,そのために硬膜組織が非常に薄くなっていることもあるので,これらの絨毛は一見骨壁に直接に接し,硬膜の隙間のなかに存在するごとく見える.しかし骨とのあいだには必ず硬膜の薄い層が介在している.顆粒周囲のリンパ腔Perigranulärer Lormphraum(図449)は硬膜下リンパ腔が外方に突き出た部分であって,両者はたがいに開放性につづいている.この絨毛の内部はクモ膜下小梁のつくる網目構造より成り,血管を欠き,絨毛の外面は内皮で被われている.絨毛の柄は細いことも,太いこともある.これらの絨毛は主として上矢状静脈洞の中およびその近くに見られ,また横静脈洞や直静脈洞のところにも存在する.

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最終更新日13/02/03

 

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