Rauber Kopsch Band2. 382   

c)外側視床動脈Aa. thalanpicae laterales(2~3本)は後大脳動脈から出て,内外の両膝状体と視床枕とに分布する.

3. 左右の乳頭体Corpora mamillaria,灰白隆起Tuber cinereum,漏斗Infundibulumおよび下垂体Hypophysisは後交通動脈からの枝を受ける.

4. 視索Tractus opticusはうしろから前に向かって順々に前脈絡叢動脈,後交通動脈および内頚動脈から枝を受ける.

5. 視神経交叉Chiasmaはその後面では後交通動脈の枝を受け,その前面で嫁前交通動脈と前大脳動脈からの枝を,その外側面ゼは内頚動脈からの枝を受ける.

6. 第三脳室終板Lamina terminalisには前交通動脈からの枝が分布する.

IV. 終脳の動脈

 終脳の動脈には,a) 大脳核と内包の動脈,b)大脳皮質と内包以外の髄質の動脈とがある.

a)大脳核(尾状核とレソズ核)の動脈はみな終動脈(Heubner, Duret)であって,次の諸動脈に由来する:すなわち 1. 前大脳動脈からの枝.これは多くのばあい1本あるのみで,この枝は嗅野の内側部の孔を通って尾状核頭の下部に達する.2. 後大脳動脈の1枝である外側脈絡i叢動脈からの細い枝,これは尾状核頭の背方部に入っている.3. 中大脳動脈からはいっそう数多くの枝が来て,これらは嗅野の孔を貫いてレンズ核(その3つの節とも)および尾状核の中央部にいたり,また内包には視床のところまで達している(図453).

[図453]大脳核Stammganglienに達する中大脳動脈A. cerebralis media(以前のA. cerebri media)の諸枝

左大脳半球の前額断.祝束交叉のうしろを通る.

1 外側大脳裂;2 島;3 側頭葉;4前障;5 レンズ核;,6 尾状核;7 視床;8 視神経交叉.

b)皮質部の動脈.柔膜動脈の枝からおこる脳の動脈は先ずその表面に平行してある長きだけ走り,次いでその表面に直角の方向に曲がって皮質のなかに入る.これに次のものが区別される:a)髄質動脈Aa. medullares(Duret),比較的太い枝で,皮質を貫いて3~4cmの深さに入りこみ,かくして髄質の最も深いところにまでも達して,髄質の内部で細長く延びた形の毛細管網に移行している.これらの動脈は皮質の内部ですでに若干の細い枝を出している.1つの回転を横に切断すると,その断面上に10~15本の髄質動脈が認められる:b)皮質動脈Aa. corticales.これは前者よりいっそう細くて,ずっと数が多く,主として灰白皮質の毛細血管網を作っている.この毛細血管網は細胞の少ない皮質の表層では大きな目の網をなし,これに反して皮質の主要部分では極めて網の目がこまかい.特に髄質に対する境のところから脳皮質の静脈が現われてくる.静脈もまた髄質静脈Vv. medullaresと皮質静脈Vv. corticalesとに区別される.

1. 前大脳動脈A. cerebralis anterior.この動脈はまず細い枝を透明中隔と脳梁吻とにあたえ,次いで前頭葉の大部分と頭頂葉の一部と脳梁とに分布し,そのあいだに次の枝に分れる:

a)内側下前頭動脈Aa. frontales inferiores medialesは嗅溝とこれに境を接する眼窩回とにゆく.

b),c)およびd)前-,中-,後内側前頭動脈A. frohtalis medialis anterior, media, posterior.前内側前頭動脈は上前頭回あ内側面と背方面および中前頭回の背方面にいたる.中内側前頭動脈は上前頭回の後部と帯状回に,また中心前,後両回の上端部に分布し,後内側前頭動脈は楔前部と脳梁に,また側脳室の背方壁の上衣に分布する.

2. 中大脳動脈A. cerebralis media.これは大脳脚こ枝をあたえた後に,島の外面で次の4終枝分れる.

a)外側下前頭動脈A. frontalis inferior lateralis.これは下前頭回にゆく.

b),c)およびd)前-, 中-,後頭頂動脈A. parietalis anteriori media, posterior.前頭頂動脈は中前頭回の後端部と中心前回に分布し,中頭頂動脈は中心前,後両回および上頭頂小葉の範囲に広がり,後頭頂動脈は下頭頂小葉にいたり,また側頭葉の背方面ならびに上および中側頭回にゆく.

S.382   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る