Rauber Kopsch Band2. 386   

3. 延髄Medulla oblongata,横断面II(図456)

 次の断面は錐体交叉のすぐ上方の高さである.後索内側部核Nucleus partis medialis fasciculi dorsalisと後索外側部核Nucleus partis lateralis fasciculi dorsalisならびに三叉神経脊髄路核Nucleus terminalis tractus spinalis nervi V. はいっそう大きくなり,三叉神経脊髄路もいっそう強大となっている.中心管の周りの灰白質のなかには灰白翼核Nucleus terminalis alae cinereae(舌咽神経および迷走神経の終止核)が現われ,その背方には副神経核Nucleus origipis nervi accessoriiがある.前柱は内側に向かっては,内側縦束(後縦束)Tractus longitudinalis medialis(Fasciculus longitudinalis medialis)に対してまだはっきりと境されているが,外側に向かっては境なしに網様体Formatio feticularisに移行している.この断面の腹方部は強大な錐体によって占められ,その個々の束,すなわち錐体束Fasciculi pyramidiciはなおいろいろ違った方向をとって走りたがいに交わっている.

 ここで新たに現われてくるものとしては内弓状線維Fibrae arcuatae internaeと前外弓状線維Fibrae arcuatae externae ventralesがある.前者は集合して束をなしつつ弓状に中心灰白質を回り,中心管の腹方で反対側の線維と交叉する.交叉した後はこの線維の一部は方向を変えて上行し,正中線のそばにあって上方にすすむ.これらの線維が(知覚性の)内側毛帯Lemniscus medialis(sensitivus), mediale Schleifeをなす.それゆえ内弓状線維の交叉は毛帯交叉Decussatio lemniscorum, Schleifenkreuzungと呼ばれる.毛帯交叉において反対側に移つた線維の一部は,毛帯のなかには入らずに縫線のなかを腹方に走り,錐体の内側面に達し,錐体の内側腹方の稜について曲がって,その腹方面(外面)を被い,さらに背方に進んでいる.これらの線維を前外弓状線維Fibrae arcuatae externae ventralesという.これが錐体の腹方面にある弓状核Nuclei arcuati(図457, 458, 460463)において中断されることもある.

4. 延髄Medulla oblongata;横断面III(図457)

 次の断面は筆尖の尖端のすぐ下方の高さで,オリーブの下端を通るものである.

 中心管Zentralkanalは長くて狭い1つの裂け目となっている.後索核はこの高さでその大きさが最大に達する.三叉神経脊髄路核Nucleus terminalis tractus spinalis nervi V. と三叉神経脊髄路Tractus spinalis nervi V. とはいっそう大きくなった.その背外側には索状体Corpus restiforme, Strickkörperの下端があり,これは前および後外弓状線維と後脊髄小脳路とによってできている.後脊髄小脳路は脊髄では辺縁帯の腹方にあり(図405),延髄のこれまでに述べた断面では三叉神経脊髄路の腹方にあった.しかしこれからはその線維が背方に曲がって,前弓状線維とともに三叉神経脊髄路の外側を通って,この脊髄路の背方の場所に達する.ここで両者が走向を変えて上方に走り,かくして索状体の下方の初まりkaudaler Anfang des corpus restzformeとなる.そのがわの後索核の神経細胞の神経突起が後外弓状線維Fibrae arcuatae externae dorsalesとして来てこれに加わる.

 中心灰白質には腹方に舌下神経核Nucleus originis n. hypoglossi, Hypoglossuskernがあり,それより背方に灰白翼核Nucleus terminalis alae cinereaeおよび弧束Fasciculus solitariusとその孤束核Nucleus tractus solitariiとがいっしょに見られる.

 内弓状線維Fibrae arcuatae internaeの数は今までよりもいっそう増加している.これは灰白網様質Substantia reticularis grisea,白網様質Substantia reticulalis albaを貫いて正中線すなわち縫線Rhaphe で交叉し,一部は上記の諸断面におけると同じように曲がって内側毛帯となり,あるいは前外弓状線維になる.舌下神経の根線維は灰白網様質と白網様質との境で斜めに外側腹方へ走る.

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最終更新日13/02/03

 

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