Rauber Kopsch Band2. 411   

それらの神経突起は(聴覚の)膝状体皮質路Tfactus geniculocorticalis(acusticus)となって上側頭回に達する.

 内側膝状体のなかで外側毛帯の線維が終り,また下丘から発する線維も終わっている.その細胞の神経突起は大部分が上側頭回に達する.

 手網核Nucleus habenulaeがもつ結合は,この核に入ってくるものzuführende Verbindungenとしては,嗅三角から出て視床髄条を経てくるもの,またこの核から出てゆくものabführende Verbindungenとしては,反屈束を通って脚間核に達するものである.そのほかに後交連との結合がある(図505).

 それゆえ手網核のなかに嗅神経の反射路olfactorische Reflexbahn が宿つており,これは反屈束や後交連を通って被藍の諸核に達し,後者から出てゆく伝導路,すなわち網様体脊髄路,内側縦束およびその他の線維群を介して前根を出す運動性の核に作用する.

 視床下核Nucleus hypothalamicus(図433),すなわちルイ体Corpus Luysiは黄褐色の色素をもつ神経網胞よりなり,そのあいだを神経線維がいろいろな方向に走っている.この核はレンズ状のもので,その背方と腹方は薄い髄質の被膜で包まれ,この被膜は複雑にもつれ合ったようにみえる線維群でできている.この核はレンズ核の淡蒼球と最も密接に結合している(図509).

 Grevingによれば,これは眼球内の筋肉(瞳孔散大を起す),膀胱の筋肉, 血管および汗の分泌に対して上位の調節中枢をなしているという.

 不確帯Zona incertaは境のはっきりしない灰白質の板であって,視床と視床下角とのあいだにあり,下方は中脳被蓋の毛様体につづくもので,この不確帯のおもな成分である縦走線維束はごくわずかの神経線維をもつ灰白質によって分散されている.不確帯は内側では第三脳室をとりまく腔灰白質に,外側では視床の格子層に,前方は灰白隆起に移行している.

 レンズ核の淡蒼部(淡蒼球)Pars pallidaはSpatzによれば間脳に属するものであるという.これについては 419頁を参照されたい.

e)大脳皮質Substantia corticalis cerebri
1. 大脳皮質の構造についてその全部に共通な性質(図477)

 白質から灰白質の皮質のなかに神経線維束が入り,この線維束は髄放線Markstrahlenあるいは放線束radiäre Bündelと呼ばれる.この線維束は皮質の外方縁にすすむとともに次第に細くなり,皮質の表面に近い層では(束としては)もはや存在しない.そこで皮質に外方の主層äußere Haaptschichtと内方の主層innere Hamptschichtとが区別できる.両者の境は髄放線が認められなくなるところである.もっとも外方の主層にも放射状に走る線維があるにはあるが,これは束をなして集まってはいない.

 髄放線に対して横に,すなわち皮質の表面に平行して,数多くの神経線維が走っている.この線維はいろいろな方向に走り,たがいに交叉する.その量は外方の主層では少なくて,内方の主層では豊富である.内方の主層の範囲では,これらの線維を放線間網工interradiäres Flechtwerkといい,外方の主層の内部では放線上網工superradiäres Flechtzverkと呼ぶ.これらの切線線維Tangentialfasernの比較的密な集りが3ヵ所に見られる.これが皮質白層Strata alba corticisであって,しかも第1,第IV,第V層にある.第1層の内部では外切線線維äußere Tangentialfasernと呼ばれる.第IV層と第V層とにある比較的密な条はそれぞれ外および内バイアルジェ線条äußerer und innerer Baillargerscher Streifenと呼ばれる.これらのうちで外バイアルジェ線条はジェンナリ条Gennarischer Streifenとして知られている.これは有線領Area striata(図482)では特にはっきりと見られる.

 大脳皮質の神経細胞は,その形から錐体細胞Pyramidenzellenと呼ばれ,上に述べた多くの神経線維の束や叢のあいだにある.皮質の神経細胞の大きさはまちまちであるが,その形は多少とも一定していて,あるいはかなり密に,あるいは比較的まばらに集まっている.さて灰白質のいろいろな層のなかで同一種の細胞形のものが一定の様式に従って配列しているので,表面に平行した層形式が生ずるのである.

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最終更新日13/02/03

 

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