Rauber Kopsch Band2. 417   

 1. 槽Alveus;2. 多形細胞層, a) 紡錘形細胞fusiforMe Zelleni b)多角形の細胞Polygonale Zellen;3. 大錐体細胞層;4. 小錐体細胞層;5. 細胞の少い層一球形および紡錘形の細胞が若干ある.

 嗅球Bulbus olfactorius(図485, 486).嗅球の髄質は嗅球の中心をはずれて存在し,しかも背方と腹方の両板よりなっていて,この両板が縁めところでたがいに移行し,両者のあいだには灰白質の薄い1層が挾まっている.背方の皮質は極度に薄く,反対に腹方の皮質はそれだけ厚くなっていて,次の諸層がそのなかにある:

a)顆粒層Stratum granulosum, Körnerschicht.この層では有髄神経線維が網状をなして集り,その網の目に小さい神経細胞が集合している.

b)錐体細胞層Pyramidenschicht, または僧帽細胞層Mitralzellenschicht.この層には短い錐体の形をした多趣性の大きな神経細胞が1列をなしている.これらの細胞は多くの樹状突起の小幹を次の層すなわち膠様層に送り,その神経突起は上に述べた顆粒層の神経線維叢に達している(Golgi).

c)膠様層Stratum gelatihosum, gelatinöse Schicht.この層は大脳皮質の外方の主層äußere Hamptzoneに相当し,散在性の小さい神経細胞がある.

[図487]脳の横断面において交連線維と遠皮質性の線維との配列を模型的に示す(Cajal)

A 脳梁;B 前交連;C 錐体路(随意運動の伝導路).

a, b, c錐体細胞;d 側枝の上行性終末分枝;6 神経の終末分枝nervöse Endvezwetgung.

[図488]脳の縦断面において前頭葉と後頭葉のあいだの連合神経線維を模型的に示す(Cajal)

a, b, c 錐体細胞;d 側枝の上行性終末分枝;e 神経の終末分枝;f 脳梁の横断面.

d)糸球層Stratum glomerulosum, Knäuelschicht.この層には球形ないし卵円形をした直径0.1mmの嗅糸球Glomerula olfactoriaというものが数多く存在して,これが多くのばあい2列にならび,その各々が2種の終末分枝をもっている.すなわち嗅糸線維の中心性終末分枝とこれより1次だけ高い次数の嗅覚ニューロンの末梢性終末分枝とである.その間には小さい細胞がみられるが,これが神経細胞であるのか,グリアに属するのかはまだ充分に確かめられてはいない.嗅糸球はJ. N. A. では嗅線維終止核Nuclei terminales fibrarum olfactoriarumtと呼ばれているが,ここには神経細胞はない.

 嗅神経線維層.嗅糸球が集まっている層の下面で特殊な性質の無髄線維である嗅神経線維が密な叢をなし,鼻腔の粘膜からくる嗅糸とこれとが続いている.

 嗅索Tractus olfactoriusの一部は嗅三角の諸層の続きをなし,また一部は特に嗅索の下面とその側縁には神経線維が集まってできている.嗅索の上方の稜はおおむね灰白質よりなる.灰白質の1層が嗅索の中心部にあって,これは以前に嗅室Ventriculus olfactoriusがあったところである.嗅索の神経束は前頭葉と脳弓回た達し,また一部は前交連に属している.

 嗅三角Trigonum olfactoriumはその下面が嗅野と一致する性質の灰黄色の1層によって被われ,この層は嗅索に向かって著しく薄くなる.嗅三角の上部は前頭葉の皮質の続きをもっていて,これもやはり薄くなって嗅索に移行するのである.透明中隔Septum pellucidumには3層がある:それは薄い髄質層と薄い皮質層と(外側の)上衣層とである.皮質層には錐体細胞と紡錘形の細胞とがある.

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最終更新日13/02/03

 

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