Rauber Kopsch Band2. 420   

 扁桃核Nucleus amygdalaeは淡蒼球の一部であるという説がある.この核は線維束によって海馬傍回鈎の皮質,外側嗅条, 嗅三角,前交連,視床と結合しているが,これらの結合線維の伝導方向は確実にされていない.

9.脳神経の起始

 脳神経が脳の表面から出る場所については372頁を参照されたい.さて脳神経の起始に関しては,その起始が一部は脳の深部にあって,その灰白質の一定の個所を占めており,そのためこの灰白質の諸部は脳神経核Nuclei nervorum capitaliumと呼ばれる.ここに述べたことは運動性の脳神経および脳神経の運動性の部分にあてはまるのである.ところが知覚性の脳神経の終止核の一部はその起始が脳の外部で,脊髄神経節と同格の脳神経節のなかにあって,それは知覚性の脳神経と脳神経の知覚性の部分とがこれなのである.これらの起始はみな1次ニューロンをなしている.

[図490]脳神経の諸核 起始核は,終止核は

 脳神経核の配列とその設計をいっそう容易に理解するためには,すでに述べた脊髄神経の起始する関係をまず思い起すのがよい(図381),そのさい 図398を参照されたい.脊髄では前根が前柱の運動性の細胞から起こっているがそれと同じく,脳のなかでは運動性の脳神経と脳神経の運動性の部分の起始核とにも同じことがなりたつ.運動性神経細胞の神経突起が運動性の根線維に続くのである.脊髄では後根の起始核が脊髄の外部で,脊髄神経節のなかにあるように,脳神経の知覚性の根もそれと同じ関係で,その起始核は脳の外部にあって,脊髄神経節に相当する脳神経の神経節のなかにある.これらの神経節の細胞も全く同じ関係であって,そこには偽単極細胞があり,これが実際には双極細胞であって,その末梢にゆく突起は1本の樹状突起に相当している.この突起は神経突起と同じ構造をなしているが,樹状突起なのである.また中枢がわの突起は神経突起であって,これが根線維に移行している(312,  313頁).脳神経の知覚性の根線維はそれより先の経過では脊髄神経の後根線維と同じ関係を示す.すなわち脳に達して各1本の上行性の枝と下行性の枝とに分れ,この両枝がそれぞれけっきょくは側枝Kollateralenと終末線維Endfasernとに分れて,

これらが終末分枝を形成しつつ2次ニューロンの細胞体を囲むのである.

S.420   

最終更新日16/08/02

 

ページのトップへ戻る