Rauber Kopsch Band2. 422   

この核は長さ3mm, 厚さ1mmあり,黄色い色素をもった大きさ60~70µの多極神経細胞よりなり.これ細胞は神経突起を運動性の根の中に送っている.そのほかに運動性の線維が青斑の細胞と三叉神経中脳路の大の神経細胞とからくる.

 知覚性の起始核半月神経節Ganglion semilunare (Gasseri)であって,これは脳の外にある.この節の細胞は,枝を末梢に送るが,他の1枝を中枢に送る.脳の中ではその根が脊髄神経の後根と同じ関係である.すなわちその灘束の一部は三叉神経中脳路Tractus mesencephalicus n. trigeminiとなって上行し,そのほかの部分は三叉神経脊髄路Tractus spinalis n. trigeminiとなって下行するので,強大な神経にふさわしく全体として根灘がはなはだ広く扇形に放散している.この扇のかなめは橋において知覚性の根が出るところにある.この放散する線維群の終末部は上方は中脳にあり,下方は脊髄の上部にある.知覚性の線維は三叉神経終止核Nucleus terminalis nervi trigeminiに終る.また三叉神経脊髄路の線維は側枝と終末枝とを三叉神経脊髄路核Nucleus terminalis tractus spinalis nervi trigeminiに送っている(図492).三叉神経脊髄路核の細胞は神経突起を三叉神経2次経路“sekundäire Trigeminusbahn”として,一部は反対がわの内側毛帯に送り(三叉神経係蹄, Trigeminusschleife) (図498),一部は索状体をへて小脳に送る.

[図491]動眼神経核と滑車神経核を背方に投影して見たもの (Edingerより)

VI. 外転神経N. abducens(図409, 417, 420, 463, 464, 490, 493)

 外転神経の起始核の長さは顔面神経の内膝の広がりと一致し,背方と上方からこの神経によって囲まれている.また核の幅は1~2mmで,厚さはこの幅よりいくらか小さい.その神経細胞は45µまでの大きさであり,その神経突起を外転神経根に送っている.外転神経根はまず縫線に平行してほとんど垂直に腹方に走り,内側毛帯の範囲に達するが,次いでその根線維束が斜めに下腹方にすすみ,橋の下縁で脳の外に出る場所に達する.外転神経核は菱形窩の上方の領域で正中線に近く,動眼神経核や滑車神経核の下方への延長線上にあり,かつ顔面神経丘の下で脳室底の表面の近くにある.

S.422   

最終更新日13/02/03

 

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