Rauber Kopsch Band2. 423   

VII. 顔面神経N. facialis(図409, 417, 421, 463, 464, 490, 493)

 顔面神経核Nucleus originis n. facialisは外転神経核の外側腹方にあり,第四脳室の底から約5mm離れて,網様体の外側部にあって,外転神経の根線維の外側で後脳オリーブ核の背方にある.この核の下端は1つの狭い隙間によって疑核(すなわち迷走神経と舌咽神経との運動性の核)から分けられているだけであり,一方その上端は三叉神経の運動性の核の近くにある.おそらく1側の顔面神経の根線維の一部は他側の核からくるのであろう.

[図492]三叉神経脊髄路の横断図 その延髄にある部分(H. Heldによる).

1 三叉神経脊髄路の外側縁;2 三叉神経脊髄路の線維団の横断;3 三叉神経脊髄路の凹をなす内側縁;4 三叉神経脊髄路核;5 三叉神経脊髄路の線維の側枝と終末枝とがその凹をなす縁から分離して,脊髄路核の細胞のまわりに終末分枝をなしていて,さらに後者の神経突起(6)が上方にすすむ.

[図493]顔面神経根の経過を模型的に示したもの 側方(右側)からみる.橋を透視したと考える.V1外転神経;VII顔面神経.

 その核の幅は1mm,その長さは4~4.5 mmである.この核から出る線維は灰白網様質を斜めに貫いて背内側に走り,かくして菱形窩正中溝の近くに達する.これらの線維は脳室底の灰白質のなかで曲がって上方に向きを変えて,楕円形の線維束をなす.これは表面のすぐ下で内側縦束の背方にあり,顔面神経丘のところまで達する.そこでこの線維束は直角をなして外側に曲る.これが顔面神経の内膝であって,次いで上方かつ背方に軽く凸を画いて外転神経核の上端を越えて走り,斜めに腹方ならびに下方に三叉神経脊髄路核と顔面神経核とのあいだを進み,橋の下縁で表面に達して脳の外に出る.

 顔面神経根のうちその起始核から膝までの部分は,以前にPars prima radicis n. facialis(顔面神経根第1部)と呼ばれたものであり,また膝からこの根が脳を出るところまでの部分はPars secunda radicis n. facialis(顔面神経根第2部)と呼ばれたのである.

 中間神経N. intermediusの起始核は顔面神経の幹にある膝神経節Ganglion geniculiである.また終止核は孤束核Nucleus terminalis tractus solitariiである.そして中間神経の一部はおそらくは下行性の束となって孤束のなかに入るのであろう.

VIII. 内耳神経N. statoacusticus(図409, 417, 421, 460465, 490, 501503)

 内耳の神経は次の2部よりなる:a)蝸牛神経N. cochleae(=聴神経N. acusticus)は外側(後方,背方)にある.b)前庭神経N. vestibuli(=平衡神経N. staticus)は内側(前方,腹方)にある.

 内耳神経核の起始をなす神経節はラセン神経節Ganglion spirale cochleaeと前庭神経節Ganglion vestibuliとである.

この両神経節は脊髄神経節と相同のものであって,双極神経細胞をもっている.

S.423   

最終更新日 16/07/27

 

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