Rauber Kopsch Band2. 424   

a)蝸牛神経の終止核蝸牛神経腹側核Nucleus terminalis ventralis n. cochleaeと蝸牛神経背側核Nucleus terminalis dorsalis n. cochleaeとである,腹側核は索状体の腹方にある.この核の内側面から横走する強い線維板が出ていて,この板は反対がわの腹側核まで伸び,台形体Corpus trapezoides, Trapezkörperと呼ばれる.台形体は両側の後脳オリーブ核と重要な内部的つながりをもち,また各側に台形体核Nucleus tra. pezoides, Trapezkernという台形体じしんに属する1つの核がある.蝸牛神経背側核は索状体の背方かつ外側にある.この背側と腹側の両核に蝸牛神経の線維団の大部分が終る.しかし別の一部は腹側核を通りぬけて,同側および反対がわの後脳オリーブ核と台形体核に終り,そのうえまた外側毛帯核,下丘核,さらにおそらくは中断されることなく反対がわの側頭葉の皮質にも終わっている.

 聴覚の2次経路および逆行する線維と反射系については伝導路の項を参照せよ.髄条Striae medullaresは主として蝸牛神経背側核から来ており,聴覚の2次経路をなし,(396頁の小川鼎三脚註を参照.)このものは部分的に蝸牛神経の終止核と反対側の下丘とを結合じている(図501).

b)前庭神経の終止核は:1. 前庭神経外側核Nucleus terminalis lateralis n. vestibuli(Deiters),2. 前庭神経内側核(三角核)Nucleus terminalis medialis(triangularis) n. vestibuli(Schwalbe),3. 前庭神経背側核Nucleus terminalis dorsalis n. vestibuli(Bechterew),4. 前庭神経下核Nucleus terminalis spinalis n. vestbuliである.--その内側核は索状体の内側で第四脳室底に幅の広い面を占めて存在する.これはプリズム形の横断面を示し長く延びた核で,下方は灰白翼にまで達し,また後索核の近くにまで達する(図461).この核には多数の小さい神経細胞があり,大体において短い神経突起をその近くにある運動性の被蓋核に送り,とりわけ前庭神経外側核に突起を送っている.--外側核(ダイデルス核Deitersscher Kern)は大きな多極神経網胞よりなる.この核は索状体が小脳の中に達するために背外側に曲るその場所の背方にある.外側核の細胞の神経突起の一部によって前庭脊髄路が作られている.

--背側核(ベヒテレフ核Bechterewscher Kern)は索状体が曲るところの内側で第四脳室の外側壁にある.この核から出る中心性の線維は小脳の諸核に達する.

--前庭神経下核には大きな神経細胞があり,その神経突起は大部分が前庭神経外側核からのものといっしょになって前庭脊髄路Tractus vestibulospinalisを形成する.その他の神経突起は内側縦束に達し,別の突起は小脳にいたる.

IX. 舌咽神経N. glossopharyngicus(図409, 417, 462, 490)

 舌咽神経の知覚性部分の起始核は内神経節Ganglion intracranialeであり,おそらくは外神経節Ganglion extracranialeもそれであろう.知覚性部分の終止核はいっそう大きい迷走神経の知覚性終止核の続きをなしていて,第四脳室底にある.舌咽神経にはまた下行性の根もあって,これは孤束Fasciculus solitariusの線維の一部がそれである.舌咽神経の運動性部分の起始核は第四脳室底の内部にある疑核の上部がそれである(図462).

X. 迷走神経N. vagus(図409, 417, 421, 456458, 460, 461, 490)

 迷走神経の知覚性部分の起始核頚静脈神経節Ganglion jugulareであり,おそらくは節状神経節Ganglion nodosumもそれであろう.

 迷走神経は太い下行性の根を有っている.これが孤束であり,孤束の半分以上の線維は迷走神経からくるが,しかしその上端部には舌咽神経と中間神経とからの線維が来ている.

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最終更新日13/02/03

 

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