Rauber Kopsch Band2. 425   

孤束(図457, 458, 460, 461)は迷走神経の主要終止核の高さでは直径が1mmあり,太い有髄神経よりなっている.この線維が集合して1本の縦走索をなし,これは頚髄の下部にまで迫跡することができる.その全経過のあいだで孤束は側枝と終末枝とを送りだし,それらの終末分枝が近くにある後柱の細胞に終り,かくしてますます細くなり,ついに全く消失してしまう.

 迷走神経の主要終止核である灰白翼核Nucleus terminalis alae cinereaeは舌咽神経の終止核でもあって,菱形窩(図421)の灰白翼に当たって存在する.この核は舌下神経核の外側にあり,舌咽神経のこれに相当する終止核といっしょになって髄条の高さまで延びている.またこの核は孤束核Nucleus tractus solitarii (=Nucleus terminalis nervi intermedii et nucleus terminalis accessorius nervi glossopharyngici)(J. N. A. ではNucleus tractus solitariiはNucleus fasciculi solitariiであるが本書では原著に従って前者を用いる.(小川鼎三))と続いている.孤束は灰白翼核の腹方面に接していて,この幅の広い核を大きい方の内側部と小さい方の外側部との2つに不完全に分けている.その小さい方の外側部は神経細胞に乏しく,大きい方の内側部にははなはだ多数の直径30~45µの神経細胞がある.孤束核の細胞の神経突起は内側毛帯のなかを進んで視床に達し(図500),また索状体を通って小脳に達する.

 別の意見によれば灰白翼核は終止核であるばかりでなく(内臓運動性の)背側起始核でもある.

 迷走神経の筋運動性の部分疑核Nucleus ambiguus (=Nucleus originis ventralis n. glossopharyngici et n. vagi)に始まる.疑核の上部は舌咽神経の運動性の根線維を送りだしている.運動性の線維は背方に凸の弓を画いて,他の迷走神経線維のところに達し,これと相接してすすむのである.

XI. 副神経N. accessorius(図409, 417, 455, 456, 490)

 副神経核Nucleus originis n. accessoriiはその根束が中枢神経を出るところが長い1線をなしているのに応じてやはり長く延びて,中断されていない網胞柱をなし,この柱は頚髄前柱と前柱ボ舌下神経核につづく部分の内側細胞群の背外側にある.この核は下方ではC. V, VI, VIIまで,上方では疑核の下部まで追跡される.副神経根は,その起始核から出たのちに末梢に向かってまっすぐに走るのでなく,必らず鋭く曲った弓を画き,その凸側(原文には凸側とあるが凹側の誤りであろう.(小川鼎三))を腹外側に向けている.脊髄神経の1対ごとに単一の副神経束のみ,あるいは少数の根束が相当して存在している.

XII. 舌下神経N. hypoglossus(図409, 417, 421, 457, 458, 460, 461, 490)

 舌下神経核Nucleus originis n. hypoglossiは長ぐ延びた細胞索であって,その下部は延髄の中心管の腹側面にあり,その上部はかなり長くて菱形窩の正中溝のそばにあって,髄条のところにまで達し,髄条の下方で円くなって終わっている.その長さは18mm,幅は1~2 mm, 厚さは1mmである.縦走線維束によってこの核はさらに上方で同じような部位にある外転神経核と結合している.

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最終更新日13/02/03

 

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