Rauber Kopsch Band2. 431   

そのさい内側核には仙髄,腰髄および下部胸髄に属する根線維の枝,つまり言いかえれば下半身untere Rumpfhälfteからくる根線維の枝が達する.上部胸髄,頚膨大および頚髄に属する根線維,すなわち上半身(ただし頭部を除く)obere Rumpfhälfteからくる根線維は外側核に達する.

 後根線維の終末枝と側枝とが枝分れして終るところの近くにある細胞から側方に軸索が出る(前根線維がおこる前柱細胞をここでは除いて考える),これらの軸索は一部はそのがわの脊髄の諸索に入り,一部は前交連に達して,そこで交叉したのちに反対がわの索に達し,次いで上方に走る.

 後索核の細胞の神経突起は内側毛帯と索状体とに入る.

 後索の根線維の続きをなすものにまず2つの系統が区別される.1のものは後索内側核の細胞の神経突起よりなり,これは毛帯交叉の下部のいっそう長い部分を形成し,オリーブ間層の背方部に位置を占めて,そののち内側毛帯の内側部をなして,けっきょく視床外側核に達する.この外側核の細胞から出る視床皮質線維は散らばつて内包の後脚の後部を通り,放線冠とともに頭頂葉と中心後回とに達する(図496).

 2のものは発生のとき前者に先行する線維系であって,後索外側核の細胞の神経突起よりなり,この線維群はやはり毛帯交叉に達して,その上部のいっそう短い部分をなし,次いでオリーブ間層の腹方部で錐体の背方に位置を占め,さらに上方では内側毛帯の外側部をなす.

 この系統の線維もまた視床外側核た達し,そこにある細胞の神経突起は視床皮質路となって,放線冠とともに頭頂部と中心後回の皮質に達する.

 後索該からおこる線維のうち若干のものは視床を通りぬけて,直接に大脳皮質に達する(Hösel).

 ここに述べた両種の線維のほかに後索の中にはさらに脊髄内でおこつた後索線維endogene Hinterstrang-fasernの集りがあってこれらに加わっている(図405).

 すぐ上に述べた系統は,内側延髄視床路Tractus bulbo-thalamicus medialisおよび外側延髄視床路Tractus bulbo-thalamicus lateralisと名づけることができるが,これらはつぎつぎに側方へ枝を分かっていて,その枝としては網様体の諸核,橋核,黒核,四丘体の領域,乳頭体(乳頭体脚Pedunculus corporis mamillaris) (図505p, c, m)に達する線維が知られている.

 そのほかの著しい伝導路は後根線維が終る後柱核の細胞からでる神経突起よりなるもので(図405),これに属する大多数の線維は白前交連のなかを通って,ここで交叉して(図496),次いで側索基礎束に達し,そこで前脊髄小脳路のなかで脊髄視床路Tractus spinothalamicusという特別な線維束をなし,これはだんだんと外側に出てきて,けっきょく側索の周辺部を占めて延髄に達する.延髄ではその一部で内側腹方にある部分がオリーブ核の外側に位置し,これは上方にすすむとますます内側に位置が変り,オリーブ核の上部の高さで内側毛帯のなかに入り,この毛帯の外側部を占める.この伝導路は内側毛帯とともに視床に達し,次いで上に述べた放線冠の視床皮質路の線維束群に加わる.

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最終更新日13/02/03

 

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