Rauber Kopsch Band2. 441   

その上行枝は前庭神経背側核に達し,下行枝は前庭神経外側核と内側核とに入る.下行枝は前庭神経の下行根Radix descendensをなし,これは次第に線維をダイテルス核の神経細胞の周囲にだし,また側枝と終末枝とを前庭神経下核にあたえるので,下方に行くほどますます減少する(図460462).

 前庭神経背側核と外側核の細胞からでる神経突起は次のような伝導路をなしている.すなわち1. 小脳に達する核小脳路Tractus nucleocerebellaresは索状体の内側部にあって,とくに球状核と室頂核とに達する.そのほかに虫部と片葉との皮質に達する直接の線維もある.それより先きの大脳に達する経路は結合腕め線維に説り仲介される.前庭神経核から出る別の線維は内弓状線維となって,同側および反対側の網様体に達し,三叉神経起始核および動眼神経核とつながりを有ち,さらに内側毛帯のなかを走って視床外側核に達する.これが核視床路Tractus nucleothalamiciである.

[図504]視覚伝導路(BechterewおよびR. Richterによる)

 A 有線領;Ch 視神経交叉;Cgl外側膝状体(外側膝状体核);Dtd 背側被蓋交叉 Decussatio tegmenti dorsalis(Meynert);m 黄斑よりの線維Fibrae ex macula;Tlm 内側縦束;I 1次“primäir”の視放線([視覚の]膝状体皮質路+視床枕皮質路);II 2次“sekundär”の視放線(皮質視蓋路).

 反射性の伝導路reflektorische Bahn:前庭神経外側核(Deiters)からでる神経突起が,一方では脳室底の下を内側に走って,一部は同側の,一部は反対側の内側縦束にいたり,動眼筋を支配する諸神経およびそのほかの運動性の脳神経核と結合する.他方では前庭脊髄路Tractus vestibulo-spinalisという脳から脊髄につづく下行性の特別な伝導路をなしている.逆の方向に走る伝導路については452・453頁の小脳1とIIIとの項を参照せよ.

 両側の視神経Fasciculi optici(図504)の線維は網膜の神経細胞からの神経突起であり,この突起は3次ニューロンである(図360636).

 人では視神経線維の一部は中心の方に向う経路において交叉し,そのさい半分以上の線維(網膜の内側部からおこる線維)が他側の視索に達する.

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最終更新日13/02/03

 

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