Rauber Kopsch Band2. 443   

 視床との直接の結合は視索上視床路Tractus supraopticothalamicusであり,これは視神経交叉の上縁を越えて直ちに間脳に入り,次いで下視床脚のなかを通り視床に達する.

 上に述べたすべての核のなかで視索の線維が終る.これらの核の細胞の神経突起は脳のほかの部分に達する.しかし大脳皮質に達するのは外側膝状体からの線維だけである.これが(視覚の)膝状体皮質路Tractus geniculocorticalis(opticus)であり,またHeldによれば視床枕から出る(視放線の)視床枕皮質路Tractus pulvinocorticalis(radiationis opticae) もここに達し,求皮質性のいわゆる1次視放線corticopetale “primäre”Sehstrahlungは後頭葉の鳥距溝の範囲に達し,ここでその終末枝に分れたものが有線領(414頁参照)の第4層と第5層の散在した大きな神経細胞と関係をもち,この有線領は以前に2次視神経節“sekunddres Opticusganglion”と呼ばれたのである.

 聴覚伝導路におけると同じく視覚伝導路においても逆行する系統rückläufige Systemeが存在するといわれる.このもの自身は網膜の内網状層のなかで,神経突起がなく樹状突起を豊富に出しているグリア芽細胞の近くで枝分れして他のものとつながらずに終わっている.しかしこのことは別のがわから異論が述べられている(図636).

 1次視放線の線維は外側膝状体と視床枕とから出て,まず前外側に向かって後頭角あ天井の上を通り,側頭葉の尖端をさしてすすみおよそ扁桃核のあたりにまで達する.ここでこの線維群は側頭膝temporales Knieをなして鋭く曲り,その後にやっと後頭葉に向うのである.その経過の途中この部分では下角と後頭角との下壁に沿っている.後頭角の内側でこれらの線維は後頭膝 occipitales Knie(図504)を形成しつつ鋭く第2の曲りをなす.いわゆる2次視放線“sekundäre”Sehstrahlung については451頁を参照せよ.

 視覚領皮質における網膜の各部の局在:鳥距溝の各壁には視野の一定の1/4が対応している.それは1. 網膜の右上部(=視野の左下1/4)は右半球の鳥距溝の上壁に対応する.2. 網膜の左上部(=野の右下1/4)は左半球の鳥距溝の上壁に対応する.3. 網膜の右下部(=視野の左上1/4)は右半球の鳥距溝の下壁に対応する.4. 網膜の左下部(=視野の右上1/4)は左半球の鳥距溝の下壁に対応する.そのさい鳥距溝が4つの各領域のあいだをくっきりと境するものでないことを注意しなければならない.

 嗅糸Fila olfactoriaの線維は嗅上皮の中にある神経上皮細胞の中心がわの突起であり,またその末梢がわの突起は嗅上皮の表面に自由に終わっている.嗅糸は中枢に向かって箭板の小孔を貫通し,嗅球にその下面から入り,ここで嗅糸球の内部で枝分れする.嗅糸球のなかで僧帽細胞の長い原形質突起も終り,僧帽細胞はいっそう深いところで特別な1層をなし,この細胞からでるその他の樹状突起は側枝の方向をとっている(図486).

 僧帽細胞の神経突起は中心の方向に走って嗅索線維となり,さらに1. 外側嗅条のなかを海馬傍回鈎(図505)に,2. 内側嗅条のなかを嗅三角の内側の稜に沿って嗅傍野に,3. 中間嗅条のなかを通って嗅三角に達する.その後の経路は,1. 海馬傍回鈎からは脳弓(371頁参照)が,2. 嗅傍野からは梁下回,縦条;小帯回,歯状回,鈎小束,海馬傍回鈎が,3. 嗅三角からはいわゆる脳底嗅束“basales Riechbündel”が出て被蓋網様核に達し,視床髄条は手網核,反屈束,脚間核をへて背側被蓋核Nucleus tegmenti dorsalisに達する.

 その途中で嗅糸の中心がわの続きは側枝をだし,この側枝が嗅索の灰白質の錐体細胞と接する.この錐体細胞の神経突起はそれ自身で中心に向かって進んでいる.少くともこの線維の一部は前交連の前部Pars anteriorをなしている.

 上に述べた線維の各種類のほかに嗅球には遠心性に走る線維がある.これは僧帽細胞層のすぐうしろにある顆粒層のなかで自由に枝分れし,この顆粒層には神経突起をもたない特別な細胞があり,軸分枝細胞もある.

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最終更新日13/02/03

 

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