Rauber Kopsch Band2. 449   

両者が集まって束をなし,そして大部分が外側に凸の弓を画いてすすんで動眼神経溝に達しここで脳の外に出る.

 舌下神経Nervus hypoglossusの系統(図508, h)は中心前回の下部(顔面神経系の領域より下方)の細胞の神経突起よりなる.その線維は放線冠に達し,内包の後脚の前方部で膝に接するところを通って,大脳脚と橋に達し,そこでは顔面神経系のすぐそばにある.ついで錐体のなかを通って舌下神経核の高さにまで達し,そこで錐体から出て背方に走り,その大部分は縫線で交叉して,舌下神経核に終る.この核の細胞の神経突起が舌下神経根を形成する.

 舌咽神経Nervus glossopharyngicusと迷走神経Nervus vagusとの系統は中心前回の最も下方の領域の細胞から出る.その神経突起は放線冠のなかを下行して,内包をその膝の近くで貫き,大脳脚では錐体路といっしょに走る:延髄のなかで部分的に縫線において交叉し,同側および反対側の疑核に達する.

 疑核の上方部から出る神経突起は脳室底の下を側方に走り,延髄の外側部から少数の束となって出る.これらの束が舌咽神経の幹を作るのである.少数の線維が内側に走り,縫線を越えたのちに反対側の舌咽神経の根に移行している.疑核の上方部から出る軸索はまず背方に進み,第四脳室底の灰白質に達したのちに外側に方向を変えて,前に述べた舌咽神経根に達する(これは茎突咽頭筋を支配する).

 迷走神経の根線維は両側の疑核の下部の神経突起として発し,舌咽神経の線維束に極めてよく似た経路をとって進む.これらの線維はその脳内経過の全体にわたって舌咽神経根の下方にある.これによって迷走神経の幹ができる.

 狭義の錐体外路系extrapyramidal-motorisches System im engeren Sinne(Spatzによる)は多くは短い伝導路が上下に続いて連鎖したものよりなっている(図509).これには次の6つの核が属する.それは線条体,淡蒼部(淡蒼球),視床下核,黒核(黒質),赤核,歯状核である.これらの核のすべてに共通な点は,直接の知覚性伝導路を受けることがなくて,大脳皮質,視床,四丘板,小脳皮質から興奮をうけとるのである.そのうえこれらの核の細胞が多量の鉄を含むことにおいて特徴がある.これら6つの核は堂々たる線維束によりたがいに結合し,この結合線維束は残らずといってよいくらい往復の両方向に走り,一部は他側にも達している.錐体外路系には長い下行性の伝導路abführende Bahnenがない.その例外は赤核脊髄路であって,これも胸髄まで達するのみである.運動性の細胞に直接に達する錐体路の長い線維とくらべると錐体外路系は短い結合が上下にはまり合ってできているのであって,線条体から淡蒼球に,さらに視床下核,黒核,赤核,オリーブ核に達し,オリーブ核から頚髄にいたり,次いで索細胞,それも特に網様核の索細胞によって仲介されて運動性の神経細胞に達するのである.

 錐体外路系は意志による目的運動とは関係がないが,筋の緊張を正しく保持することおよびいろいろな筋の共同作用に重要な役割をなしている.

 広い意味では錐体外路系は大脳皮質にはじまる錐体路以外のもので脊髄に達するすべての伝導路を包含する.

すなわち赤核脊髄路,視蓋脊髄路,前庭脊髄路,オリーブ脊髄路,黒核脊髄路,内側縦束がそれである.

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最終更新日13/02/03

 

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