Rauber Kopsch Band2. 451   

ここで起る線維束はさらにすすんで扇形に広がりながら上丘の中心灰白質を囲み,背側被蓋交叉(Meynert)を作つたのちに視蓋網様体路Tractus tectoreticularisとなって内側縦束のなかを走って延髄に達し,そこで網様質の運動性細胞に終る.また視蓋脊髄路Tractus tectospinalisとなって脊髄に達し,そこでは前索の内側縁にある.この線維が運動性の前柱細胞に終る.その途中で側枝をいくつかの脳神経(とくに三叉神経)の起始核にあたえている.

 前頭葉にある眼球運動の中枢領域からおこる線維束は放線冠のなかを内包に向かって走り,上丘に達する.その続きをなす線維が上丘の細胞からでて一部は中脳水道の背方で交叉し,一部は直接に内側縦束に入ることは生理学的研究により明かにされた.これらの線維は動眼筋を支配する諸核に達する.

 もう1つ別の線維系がこれと似た関係を示している.それは角回にある眼球運動の頭頂部の中枢領域からおこる.その線維は放線冠のなかを下行して,前者と同じように上丘の領域および後交連にいたり,そこで交叉して,次いで内側縦束および動眼筋を支配する神経の諸核に達し,これらの核からでる神経根がこの系統の続きをなしている.

 いわゆる2次“sekunddir”の視放線(図504 II)は遠皮質性のかなり広い範囲をもつ線維系であって,大脳皮質の後頭葉のなかで,視覚中枢のある場所に始まる.グラチオレ視放線Gratioletsche Sehstrahlungのなかを通って,この線維系は上丘の部分に達し,そこでさらに先へ続く線維が始まるがジこれは後交運のなかで中脳水道の上を越えて部分的に交叉する.次いで内側縦束に移行して動眼筋を支配する諸核に達する.

 視蓋延髄路Tractus tecto-bulbaris(Münzer)は上丘の細胞からでて,同じがわで大脳脚の側面を走り,橋の下部にまで達して,網様核の細胞に終る.これは脳幹のなかにある局部的な結合の路に過ぎないのである.

 側頭葉の上方の領域(聴覚中枢の場所)から発する下行性の線維は放線冠のなかを下行して内側膝状体のところに達する.ここから新たに始まるノロインが下丘腕とともに走って下丘の部分に達し,ついで今日のところまだわかっていない経路によって耳介筋の支配に関係をもつ顔面神経核に達している.

 頭頂弁蓋において,また前頭弁蓋と側頭弁蓋とからも1つの線維系が起こって,.これは放線冠および内包を通って下行し,黒核の外側部に達する.これが皮質黒核路Tractus corticonigralisである.その下方への続きをなす線維は部分的に交叉して三叉神経と舌咽神経の運動性の核に達し,これらの両神経の根がこの線維系の末梢ニューロンをなしている.

 脳弓回の範囲からでる線維は一部は脳梁を貫き,一部は縦条となって脳梁をとりまき,嗅三角に近づいて,その中で終る.嗅三角の細胞は髄条の線維,すなわち嗅手網路Tractus olfactohabenularisを送りだし,このものは手網核のなかで中断されて両側の手網のなかをさらにすすむ.これらの線維は松果体の根もとで交叉し,次いで後交連の腹方部を通って,内側縦束の核に達する.そして内側縦束の線維とともにすすんで,脊髄の前索に達し,運動性の前根細胞に終る.この細胞から前根線維が続いて外にでる.これに属する線維の一部がおそらくは動眼筋を支配する諸核および疑核(図505)に関係をもつのであろう.この線維系に属する別の一部は手網核からでて手網脚間路Tractus habenulointercruralis(すなわち反屈束Fasciculus retroflexus)の中を通って,脚間核に向い,この核に達する前に不完全な(別の意見によれば完全な)交叉が行われる.

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最終更新日13/02/03

 

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