Rauber Kopsch Band2. 452   

脚間核からはじまる一線維束が被蓋網様核に達する.そしてこの核から網様体延髄路Tractus reticulobulbarisと網様体脊髄路Tractus reticulospinalisがでて脳神経および脊髄神経の運動性の核にゆくのである(図505).被蓋網様核にはいわゆる脳底嗅束“basales”Riechbündel(Wallenberg) すなわち嗅中脳路 Tractus olfactomesencephalicus(図505)も到達している.

 海馬傍回鈎の部分には外側嗅条Stria olfactoria lateralis,すなわち嗅海馬路Tractus olfactohippocampicusが終り,そこでは采Fimbriaと呼ばれる強大な線維束が始まって,これは脳弓およびその両脚に移行している(図505).この線維の一部が前交連の近くで曲がって髄条に入り,そのなかを皮質手網路Tractus corticohabenularisとしてすすみ手網核に達する.またこの線維の別の大きい部分が皮質乳頭路Tractus corticomamillarisとして脳弓柱のなかを同側および反対側の乳頭体へと走る.乳頭体から次のものが共通の根をなして起る:1. 乳頭被蓋束(グッデンの被蓋束)Tractus mamillotegmentalis (Haubenbündel von Gudden),これは中脳被蓋に達し,橋背部のなかで被蓋網様核(図464)にいたり,ここから網様体脊髄路をへて(および内側縦束のなかをも通って),運動性の前柱細胞に達する.2. 乳頭視床束(ヴィック・ダジール束)Fasciculus mamillothalamicus(Vicq d’Azyrsches Bündel)は第三脳室の壁の近くを上行して視床前核に達する.

 皮質橋核路は大脳皮質からでて橋核に終る.前頭葉の後方の領域からは皮質橋核路の前頭部Pars frontalis(アーノルド束Arnoldsches Bündel)がでて内包の前脚,ついで大脳脚の内側部(図468)をへて下方に進み,橋核の内側部に達する(図510).これと同じように配列している第2の伝導路が後頭葉と側頭葉に属する部分から始まる.これが皮質橋核路の後頭側頭部Pars occipitotemporalis(チュルク束Türcksches Bündel)である.これは放線冠のなかを下方に走り,内包の後脚を通って大脳脚の外側部をなし,橋核の外側部に達する.

 この両系統の続きをなすのは橋核網様体路Tractus pontoreticularesであって,これは正中部を通って下行し橋の網様体に達する.その後の経過は網様体脊髄路Tractus reticulospinalisであって,これが運動性の前根細胞に終るのである.

 これらの伝導路に属する別の一部,ことにその背方部のものは橋腕の線維に続き,すなわち橋核から出てくる線維であって,橋のなかで交叉して,小脳半球に向うのである.これが[]小脳路Tractus pontocerebellaresである.

 小脳からはかなり多くの重要な下行性の系統が出る:

すなわち,

I. 索状体の内側部をとおる下行性の伝導路があって,これは網様体を越えて脊髄に達する.これには1. 室頂核にはじまる線維束が両側の室頂核の上およびそのあいだの所で交叉して後脳オリーブ核Nucleus olivaris metencephaliに達し,この核じしんが1つの線維束を外転神経核に送っている.2. 別の線維群は前庭神経外側核に達している.ここで前庭脊髄路がはじまり,これは脊髄の側索のなかを下行して運動性の前柱細胞に終る.この系統の側枝として現われる一線維束は前庭神経外側核から内側縦束に達し,この縦束が動眼筋を支配する諸神経の核とのつながりを仲だちしている.

II. 索状体の外側部には次のものがある:

1. 中間の小脳束intermedia"res Kleinhirnbündel.これは初めは延髄の外側面にあり,次いで錐体(それも主として同側の錐体)に達する.その後は錐体側索路とともに走り,その大部分が錐体路の線維のあいだに位置し,少部分だけが錐体路の外にある.ほかの下行性の伝導路と同じくこれもまた前柱の細胞に達する.2. 小脳虫部から起る小脳オリーブ路Tractus cerebelloolivaris varis(図510)と歯状核から起る歯状核オリーブ路Tractus dentatoolivarisとはオリーブ核のなかで中断され,ついでオリーブ脊髄路としてさらに下行して前柱にまで達する.

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最終更新日13/02/03

 

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