Rauber Kopsch Band2. 461   

α)下眼瞼枝Rr. palpebrales inferioresは多くのばあい内側枝と外側枝とが1本ずつ存在する.これらの両枝は眼輪筋の下縁を廻って下眼瞼に分布している.

β)外鼻枝と内鼻枝Rr. nasales externi et interniは2~3本あって,鼻の側壁の皮膚,鼻翼および外鼻孔の皮膚に分布する.

γ)上唇枝Rr. labiales maxillaresは3~4本あり,まず骨と筋肉とのあいだを下方に走って,上唇の皮膚と粘膜に達し,口角にまで及んでいる(図514).

3. 翼口蓋神経Nn. pterygopalatini(図514, 515).これは翼口蓋窩に達する1本あるいは2本の短い神経で,上顎神経の下縁からでて直ちに平たい三角形の翼口蓋神経節Gangliρn pterygopalatinumに達する.

翼口蓋神経節Ganglion pterygopalatinum(図514516, 520)

 翼口蓋窩のなかにある(副交感神経性の)翼口蓋神経節はその大きさが毛様体神経節の2~3倍もあり,次の3と結合している.それは知覚根(翼口蓋神経),運動根(大浅錐体神経)および交感根(深錐体神経)の3つである.そのうち後2者はたがいに合して翼突管神経N. canalis pterygoideiとなってこの神経節に入る.翼口蓋神経節には多極神経細胞が集まっている.この神経節から次の枝がでる:1. 外側および中隔後鼻枝Rr. nasales posteriores laterales et septi, 2. 口蓋神経Nn. palatini, 3. 眼窩枝Rami orbitales.

a)翼口蓋神経節の根

α)知覚性の翼口蓋神経Nn. pterygopalatini.その線維の一部はこの神経節のすぐそばを通りすぎ,他の一部はこれを貫いて,その両者がこの神経節からおこる線維とともに,口蓋神経と後鼻枝のなかを走って軟口蓋と硬口蓋に達し,また鼻腔のかなり広い部分の粘膜に分布する.

β)大浅錐体神経N. petrosus superficialis major(図514516, 520)は顔面神経の膝神経節にはじまり,顔面神経管裂孔からでて,大浅錐体神経溝のなかを通って蝶骨錐体軟骨結合に達し,頚動脈管内口の外側でこの軟骨結合を貫き,深錐体神経と合して翼突管を通つで翼口蓋神経節に達する.この神経は顔面神経からの副交感線維を含んでおり,またおそらくは翼口蓋神経から来て顔面神経の末梢部に移行する知覚性の線維をも含むと思われる(顔面神経および伝導路の項参照).

γ)深錐体神経N. petrosus profundus(図514516).この神経は交感性の内頚動脈神経N. caroticus internusの外側枝からでて蝶骨錐体軟骨結合を貫通して翼突管に入り,ここで大浅錐体神経と合して翼突管神経N. canalis pterygoideiとなる.深錐体神経は上頚神経節と翼口蓋神経節とのあいだを結ぶ交感神経幹の一部であるといえる.

b)翼口蓋神経節の枝

α)外側後鼻枝Rr. nasales posteriores lateralesおよび中隔後鼻枝Rr. nasales posteriores septi.

 これらの枝は翼口蓋孔を通って鼻腔に入るもので,それに内側の枝外側の枝とが区別される.内側の中隔後鼻枝は細い2~3本の神経で,その一部は鼻中隔の上部に分布するが,これらの枝のうちの1本は鼻口蓋神経N. nasopalatinusとよばれて,かなり長い経過をとり,中隔の骨膜と粘膜とのあいだを中隔後鼻動脈とともに前下方に進んで,切歯管に達する.

 切歯管において両側の神経がたがいに合し,細い枝を口蓋粘膜の前方部にだす.この神経は知覚性の線維を中隔の下部の粘膜に送っている.かつ切歯管に入るまえに460頁で述べたように前上歯槽枝の鼻枝Ramus nasalisと結合する.これらの神経の口蓋に分布する枝は大口蓋神経N. palatinus majorと結合している.

S.461   

最終更新日13/02/03

 

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