Rauber Kopsch Band2. 463   

 外側後鼻枝Rami nasales posteriores laterales(図516)は6~10本の繊細な枝で,一部は翼口蓋孔を通り,また翼口蓋管の前壁にある孔を通って鼻腔に入り,篩骨に属する両鼻甲介の後部と,上鼻道および後篩骨洞の粘膜に枝分れし,一部は後方に走って咽頭円蓋に達し,後鼻孔の上部や耳管咽頭口ならびに蝶形骨洞の粘膜に分布している.

β) 口蓋神経Nn. palatini(図516)は3本あって,それは翼口蓋管とそれからでる2つの側管を通る.大口蓋神経N. palatinus majorは3本の枝のうちで最も太くて,翼口蓋管と大口蓋孔とを通って硬口蓋Palatum durumに達し,3~4本の枝に分れて,口蓋溝のなかを前方に走り,硬口蓋の粘膜や口蓋腺および歯肉に分布する.この神経は切歯孔で鼻口蓋神経と吻合している.翼口蓋管のなかを通るあいだに()外側後鼻枝Rami nasales posteriores laterales(inferiores)を下鼻甲介ならびに中鼻道と下鼻道の粘膜に送る.小口蓋神経N. palatinus minorは後方の小口蓋管ならびに後方の小口蓋孔を通って軟口蓋Palatum molleに達する.この神経は軟口蓋の下面の粘膜に知覚性の枝をあたえている.

 中口蓋神経N. palatinus mediusは3つの口蓋神経のうちで最も細く,小口蓋孔のうち外側の孔を通って咽頭扁桃のあたりに達する.

γ)眼窩枝Rami orbitalesは2~3本の細い枝である.これらの枝は下眼窩裂を通って眼窩にいたり,ついで眼窩篩骨管に達し,蝶形骨篩骨縫合にある小さい孔を通って後篩骨洞と蝶形骨洞の粘膜に達する.また若干の小枝を視神経の鞘にもあたえている.

翼口蓋神経節の構造

 この神経節には多極神経細胞があり,その神経突起は Lenhossék (1895) によれば鼻粘膜と口蓋粘膜に入り,そこでは上皮内で枝分れして自由終末をなしている.翼口蓋神経の線維の一部は単にこの神経節を通過するだけである.他の一部はこの神経節の細胞のまわりで終末分枝をなし,また細胞の周囲に線維籠Faserkörbeを作っている.

III. 下顎神経N. mandibularis(図512, 516519)

 三叉神経の第3枝で,しかも3つのうちで最も太い枝であり,これには知覚性の線維のほかに小部Portio minorの全部,つまり三叉神経の運動性の根が含まれている.しかし脊髄神経におけるように知覚性と運動性の両線維とが密に混り合うのではなくて,運動性の線維の大部分は,三叉神経の幹が卵円孔を通過した後に知覚性の線維の一部とともに咀嚼筋と頬粘膜とに達する.その残りの方がいっそう太くて,主として知覚性の線維よりなっている.第3枝にも(副交感性の)神経節があって,それは耳神経節Ganglion oticumと顎下神経節Ganglion submandibulareとである.

 第3枝から最初にでる枝は硬膜枝R. meningicusである.これは中硬膜動脈とともに棘孔を通って頭蓋腔に戻って入り,この動脈の前枝と後枝に伴って進む.前方の枝は直ちに蝶形骨の大翼の内部に入り,後方の1枝は錐体鱗裂を通って乳突蜂巣の粘膜に達している.

1. 咀嚼筋に分布する枝は次のものである(図512. 516, 517)

 a)咬筋神経N. massetericus.これは外側翼突筋の上を通り,下顎切痕をへて咬筋に達し,細い線維を顎関節にも送っている.b)後深側頭神経N. temporalis profundus posterior.これは外側翼突筋の上を越えて側頭筋の後部にいたり,前者と同じく細い線維を顎関節に送る.c)前深側頭神経N. temporalis profundus anterlor.

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最終更新日13/02/03

 

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