歴史的な偉大な解剖学書
最も上部にある第1枝(眼神経)は知覚性の線維をもって眼球・諸眼筋・涙腺に分布し,また鼻粘膜の一部および眼瞼裂から頭頂までの頭皮に分布する.
第2枝(上顎神経)も同じく知覚性であり,主として眼瞼裂と口裂とのあいだの顔面・上顎の歯・口蓋・鼻腔および上顎洞に広がる.
第3枝(下顎神経)は下方に向かって知覚性の枝を舌および下顎の歯と皮膚とに送り,上方に向かっては側頭部の皮膚と外耳とに線維を送る.また運動性の線維を咀嚼筋,顎舌骨筋および顎二腹筋の前腹にあたえている.
なお,これらの枝のそれぞれが1本の硬膜枝を分ち,頭蓋腔の壁で三叉神経に属する部分に分布する.
[図519]頭部と頚部における皮神経の分布領域(Corning, Topogr. Anat. より引用)
黄色の部分は三叉神経(第1枝の範囲は点を打ってあり,第2枝のはそのまま,第3枝の範囲は斜線を引いてある).色をつけてない部分は頚神経.L. 涙腺神経;Z. f. 頬骨顔面神経;F. 顔面神経
外転神経は橋の外転神経核より発し,橋の下縁において錐体との境のところから表面にでる.この神経は滑車神経と同じく1個の筋だけにゆく.それは外側[眼球]直筋である.
(Swensson 1949によると)この神経は脳から出るときには5890本の神経線維を,筋に入るときには7220本の神経線維をもっている.
以前に学者によって記載された交感神経ならびに三叉神経との吻合は存在しない(Swensson 1949による).この神経に含まれる知覚性の線維は三叉神経中脳核から来ている.
最終更新日13/02/03