Rauber Kopsch Band2. 471   

 鼓索神経は耳神経節の近くを通りすぎるときに,1つの神経叢(神経細胞をも含む)によってこの神経節と結合している.鼓索神経の線維は中心の方にたどってみると,その大部分が顔面神経の中心部zentraler Teilに移行する.しかし多くの例では鼓索神経の線維の少部分が顔面神経のなかをさらに末梢の方に進むのである.

b)顔面神経は茎乳突孔を出て耳下腺に入るまでに次の枝をだしている:

1. 後耳介神経N. retroauricularis(図520, 522).この神経は茎乳突孔のすぐそばで幹から分れて,後上方に向い,乳様突起の前面を上行する.そして項耳筋に,また側頭頭頂筋の頭頂部の後部,耳介横筋および耳介斜筋ならびに対珠筋に運動性の線維をあたえ,また後頭枝Ramus occipitalisを後頭筋に送る.上に述べた諸筋に達する途中で後耳介神経は頚神経からの(すなわち大耳介神経と小後頭神経の)知覚枝の細い枝ならびに迷走神経の耳介枝と結合する.

[図520]顔面神経が骨の管のなかを通っているところとその結合関係を外方から剖出して示す 右側.(Hirschfeld および Leveilléによる) ( 9/10)

 側頭骨の乳突部と錐体部との外方の部分はほとんど垂直に切断して取り去り,顔面神経管はその全長にわたって開いてある.また鼓室輪と鼓膜とは一部分残してあり,同様に翼突管の内側壁も残してある.

2. 二腹筋枝R. biventricus(図520, 522)は後耳介神経のすぐ下で幹から分れて顎二腹筋の後腹に達する.この神経は茎突舌骨筋に1枝を送る(茎突舌骨筋枝Ramus stylohyoideus).二腹筋枝からは多くのばあい舌咽神経との交通枝Ramus communicans cum n. glossopharyngicoが出ている.

c)耳下腺の内部で顔面神経は2本の主な枝に分れる.それは1本の上枝と1本の下枝とである.この両主枝が繰り返し枝分れして多数の枝となり,これらの枝はいく重にもたがいに結合して耳下腺神経叢Plexus parotidicusを耳下腺の内部に作っている.耳下腺の縁から顔面神経の顔面に分布する多くの枝が放射状に出ている.また耳介側頭神経の顔面神経との交通枝は深いところから出てきて耳下腺神経叢に入る(図522).

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最終更新日13/02/03

 

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