Rauber Kopsch Band2. 479   

2. 上喉頭神経Nervus laryngicus cranialisl(図524, 526, 536)

 上喉頭神経は節状神経節の下部で迷走神経から分れ,交感神経の上頚神経節および咽頭神経叢Plexus pharyngicusから細い枝を受けとった後に,2本の枝に分れる.それは外枝Ramus externusと内枝Ramus internusとである.この2枝に分れる前に細い頚動脈枝Ramus caroticusを総頚動脈神経叢に送りだしている.

 上喉頭神経の起始の近くで,この神経および迷走神経の幹から短い2根をもって抑制神経N. depressorが発する.これは心臓にいたる神経の1つであって,その中枢がわの部分を刺激すると血圧が著しく下降するのである.

 外枝Ramus externus(図524)は交感神経の上頚神経節から1本の細い枝を取り入れ,喉頭咽頭筋と輪状甲状筋とに分布する.この枝からさらに細い枝がでて甲状腺に達する.

 内枝Ramus internus(図524)は外枝よりもずっと太くて,舌骨甲状膜を貫いて喉頭蓋の粘膜に声門裂のところまで分布し,また喉頭の後壁を被う粘膜にも分布する.下喉頭神経との交通枝Ramus communicans cum nervo laryngico caudaliは後輪状披裂筋の後面の上を下方に走る(図526).

 Hoferが機能の検査をした結果によれば,内枝の支配する粘膜の範囲は声門裂を越えてさらに下方まである距離だけ伸びている.(Monatsschr. Ohren. heilk., 63. Jahrg.,1929).内枝からも細い小枝が出て甲状腺に達する(Braeucker).この神経の喉頭粘膜における細かい枝分れの中にGanglia n. laryngici cranialis(上喉頭神経神経節)という小さい神経節が散在している.

[図526]喉頭神経の分枝(3/4)

S.479   

最終更新日13/02/03

 

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