Rauber Kopsch Band2. 488   

 第1胸神経は第1胸椎と第2胸椎のあいだから出るが,最下の胸神経は最下の胸椎と第1腰椎のあいだから出ている.

3. 腰神経Nn. lumbales, Lendennervenは5対よりなり,すでに下部胸神経でみられた太さの増加がここではいっそう程度を増して継続する.

 この増大はもっぱら前枝におこるのである.なぜならば腰神経の後枝は太さが細く,下方に向かってその太 さが減じさえするのである.第1腰神経は第1と第2の腰椎のあいだから出て,最後の腰神経は最下の腰椎と第1仙椎とのあいだから出ている.

4.5対の仙骨神経Nn. sacrales, Kreuznervenとこれに続く尾骨神経N. coccygicusとは下方にゆくとその太さを著しく減ずるが,1仙骨神経は分節神経の全体を通じて最も強大なものである.(原文の S. 486には腰膨大で第2仙骨神経の両根が最も太いとある.何れにせよこの辺りが最大である.(小川鼎三))

 第1~第4仙骨神経は仙骨間管を通って脊柱管から外に出る.それらの後枝は後仙骨孔をへて後方に走り,前枝は前仙骨孔を通って前方にすすむ.第5仙骨神経は最下仙椎と第1尾椎とのあいだから,また第1尾骨神経は第1尾椎と第2尾椎とのあいだから外に出る(図375参照).

5. 尾骨神経Nn. coccygici, Steißnerven

 尾骨神経としては普通はただ1だけが肉眼的に認められ,これが1尾骨神経である.第2および第3尾骨神経とよばれるものは普通は終糸の中を走る顕微鏡的な細い線維束に含まれており,そこにはまた立派に出来上がった脊髄神経節細胞の小さい群もみられるのである(Rauber).ときには第2尾骨神経が異常によく発達して,終糸から離れており,その場合にはあらゆる点から普通の脊髄神経と同じといえるのである.人の終糸のなかに含まれる神経線維の数は平均100を越えている.

A.脊髄神経の後枝Rami dorsales(図529, 531533)

 脊髄神経の後枝は次のものに分布する:

1. 頭頂部がら尾骨の尖端までの範囲で背部の皮膚Rückenhaut.

 背部の皮神経が分布する大きな領域の外側の境は左右とも次の1線により示される.すなわちこの線は頭頂部から分界項線の中央を越えて下行して僧帽筋の外側縁に達し,この縁に沿って肩峰にまで続く.そこからこの境界線はまず内側に傾き,そのさい肩甲骨の下角と交叉し,背部の中央から外側に向かってすすみはじめ,腸骨稜の中央を通り,大転子を被う皮膚に達する.この場所から境界線は上方に向かって軽く凸の弓を画いて走り尾骨の尖端に達している.

2. 狭義の背筋Rückenmuskulatur.

 上に述べた境界線と固有背筋の外側の境界とを比較するとわかるように,背方の皮枝の分布領域は2個所すなわち肩峰部Akromialgegendと大転子部Trochantergegendにおいて後根の支配する筋領域dorsales Muskelfeldを越えてかなり著しく広がっている.

 皮神経と筋神経の分布するこの長い左右対称的な領域の内部で,神経は決してあちゆる場所で脊椎の分節Virbelsegmenteに正確に一致して分布しているわけではない.脊椎の分節は1つの体分節が有つその他の(すなわち筋と神経を除く)いろいろと違った種類の成分について,たとえば腸の分節Darmsegmentや皮膚の分節Hautsegmentについて正確な表現をなすものではない.しかし境界を定めるのに神経分布を利用できないとすると皮膚の分節がどれだけの広がりをもっているかは定められない.それゆえ実際上は第2頚神経の後枝の皮枝は頭頂部にまで達するということがわかるだけである.中部の頚神経の後枝の皮枝もやはりなおいくらか上方に向かった進み方をしており,下部の頚神経と胸神経のそれはわずかに下方に向かって走っている.急な傾斜をなして下行するものは腰部および上啓部に達する皮神経である.

 後枝に支配される筋に関しては,それに属する運動性の神経は全く分節的な境を守つているのである.

 おのおのの後枝は内側枝Ramus medialisと外側枝Ramus lateralisとに分れる.この関係は胸神経の分布領域において最もはっきりと目立っている.内側枝と外側枝とは両方とも知覚性および運動性の線維を含みうるのである(図533).

S.488   

最終更新日13/02/03

 

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