Rauber Kopsch Band2. 491   

 1および第2頚神経の後枝は次のようなぐあいになっている(図531より 533まで).1頚神経・すなわち後頭下神経N. cervicalis primus s. suboccipitalisは脊柱管からでた後は椎骨動脈の下方で環椎の椎骨動脈溝のなかにある.この溝においてほとんど同じ太さの2枝に分れ,これらの枝はほとんど直角をなしてたがいに離れてゆく.1後枝Ramus dorsalis Iはそれより下方の脊髄神経の後枝とは反対にもっぱら筋に分布する.その筋は大,小後頭直筋と頭掛筋ならびに環椎斜筋である.環椎斜筋を貫通する1枝によって,ときに第2頚神経の後枝と吻合している2頚神経N. cervicalis secundusは脊柱管からでたのちには環椎斜筋の下縁で前枝Ramus ventralisと後枝Ramus dorsalisとに分れる.後枝は前枝よりはるかに太くて,環椎斜筋の縁を廻って背方に走り,後頭骨と脊椎とを結ぶ短い諸筋と横突後頭筋とのあいだに達する.そして3枝に分れる.すなわち1本ずつの上行枝下行枝および上方に凹の弓を画いて走る本幹の続きをなす枝である.上行枝は頭最長筋に分布し,板状筋の内側縁で1皮枝を後頭部に送るが,この皮枝は必ずしもいつも見られるとは限らない.下行枝は横突後頭筋の尖頭の中に入って第3頚神経の後枝と吻合する.第3の枝である大後頭神経N. occipitalis majorは横突後頭筋を貫き,さらに僧帽筋の健を貫いて,かくして正中線より2~3cm離れたところで分界項線のあたりで皮膚の下に達し,ここでは平たくなり,繰り返し枝分れして頭頂部にまで広がり,時にはさらに冠状縫合のあたりにまで達する.

 これらの枝は一部は後頭動脈の枝に沿って走っている.その走行の途中で僧帽筋の腱を貫く場所は,後頭動脈が貫く場所と一致することもあり,またこの神経の一部が分離して後頭動脈とは別のところを通っていることがある.

2. 胸神経12対の後枝(図529, 533)

 これらの後枝は上下に隣り合った2つの横突起のあいだから出てその分布領域にいたるもので,内側枝Ramus medialisと外側枝Ramus lateralisという典型的な2本の枝に分れる.

 頚神経の後枝では外側枝が純運動性,内側枝が運動と知覚の混合性であったのに対して,胸神経の後枝は次の点で相違している.それは内側枝も外側枝も必ず筋神経をもつほかに皮神経をも出しうるということである.最もしばしば見られることは1~第8胸神経の後枝は強い内側皮枝を,9~第12胸神経は強い外側皮鼓を送り出すことである.内側皮枝は脊椎の棘突起のそばで僧帽筋を貫き,さらに下方では僧帽筋と広背筋とを貫いている.下方の4本の外側枝は広背筋のおよそ筋肉と腱との境のところで外に出る.

 外側皮枝Rami cutanei laterales は最長筋の下で分れるとすぐに外側に向い,この筋と腸肋筋とのあいだの隙間に現われ,これら両筋の胸郭の範囲にある部分の全体にわたって分布している.

 内側皮枝Rami cutanei. medialesは多裂筋と半棘筋とのあいだに出て,ここから上述の皮枝を棘突起のそばに送りだし,また回旋筋,多裂筋半棘筋および棘筋に分布するのである.

3. 腰神経5対の後枝(図529, 533)

 腰神経の後枝も同様にそれぞれ1本の内側枝外側枝に分れる.

 その内側枝は細くて多裂筋にゆく筋神経であり,ただ下方の腰神経だけが細い内側皮枝を出している.

 外側枝は下方に向かってその太さを減じ,腰肋突間筋と仙棘筋の腰部とに分布する.下方の2対の腰神経の外側枝は筋肉のなかですっかりなくなる.しかし第1~第3腰神経からの外側枝は腸肋筋を貫いてかなり太い皮神経を送り出しており,この皮神経は腸骨稜を越えて下行し,啓部の上部に達し,外側は大転子のあたりに達する.これが上臀皮神経Nn. clunium cranialesである(図558).

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最終更新日13/02/03

 

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