Rauber Kopsch Band2. 495   

a)頚神経叢の結合枝

1. CIIIから出て副神経が胸鎖乳突筋に入る前にこれと結合する枝.2. CI~CIIIから出て舌下神経と結合する枝.3. 交感神経幹との交通枝.4. CIから出て椎骨動脈神経叢Plexus vertebralisと結合する1小枝.5. CIVから出てCVと結合する1小枝.

b)頚神経叢の皮枝
1. 小後頭神経N. occipitalis minor(図519, 521, 522, 531534)

 これは多くのばあい第2の係蹄より発し,胸鎖乳突筋の後縁でその中央より上方で現われる.頭板状筋の上を急な傾斜で上方に走り,胸鎖乳突筋の停止腱と交叉して,多くは2本の枝に分れる.この両枝が後頭部の外側部に分布し,また大後頭神経および大耳介神経とつながる.

2. 大耳介神経N. auricularis magnus(図519, 521, 534)

 これが普通には頚神経叢の最も太い枝である.CIIIから発して,小後頭神経のすぐ下方で胸鎖乳突筋の後縁で外にあらわれ,直ちにこの筋の外面に進み,外側浅頚静脈の背方を走り,はじめはなお広頚筋に被われていて,耳垂への方向をとって上行する.下顎角の高さで前後各1本の終枝に分れる.その後枝Ramus posteriorは耳の後方にある皮膚ならびに耳介の後面の皮膚で枝分れして,小後頭神経や後耳介神経のだす小枝とここで結合する.前枝Ramus anteriorは耳下腺咬筋部の皮膚・耳垂の皮膚・耳介凹面の皮膚に達する.

3. 頚横神経N. cutaneus colli(図519, 534)

 頚横神経は多くのばあいCIIIから出て大耳介神経のすぐ下方にあり,広頚筋に被われてほとんど水平に胸鎖乳突筋の外面の上を舌骨に向かって前方に走り,各1本の上方の枝と下方の枝とに分れる.その上方の枝は幹の続きであって,上枝Rami cranialesという上行性の枝を舌骨上部の皮膚にあたえている.これらの枝のうち1本が顔面神経の頚枝の下行性の1枝と吻合し,かくして浅頚係蹄Ansa cervicalis superficialisができる.これによって顔面神経の運動性の小枝が広頚筋の下部に達するのである.広頚筋は顔面神経からだけで支配される.

 下方の枝はただ1本の神経をなすか,あるいは(下枝)Rami caudalesといういく本かの小枝よりなり,この下枝が広頚筋を貫いて舌骨下部の皮膚に分布する.

4. 鎖骨上神経Nn. supraclaviculares(図525, 534)

 これはCIVから出るかなり太い束であって,その枝の数は個体により異なっており,胸鎖乳突筋の後縁で頚横神経のすぐ下方で1列にならんだ枝として現われる.

これらの枝はそこから下行しつつ一部は前方に,一部は後方に,また一部は外側方に放散し,広頚筋に被われており,たダ細い枝をもって広頚筋を貫くだけである.これらの枝は3つの群をなして鎖骨を越えて,胸と肩の皮膚に達する.

 その前方群は多くのばあい相当に太い1本の神経をなしていて,それが6~8本の小枝に分れる.これらの小枝は鎖骨の胸骨端のところを越えてすすみ,大胸筋の上内側部を被う皮膚に分布する.また若干の小枝が胸鎖関節に達する.中央群は多くのばあい3本の枝よりなっていて,これらの枝は鎖骨め中央部を越えてすすみ,胸部の上外側部の皮膚で枝分れして第4肋骨の高さにまで達する.

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最終更新日13/02/03

 

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