Rauber Kopsch Band2.529   

--b)両双子筋大腿方形筋への神経,これもやはり坐骨神経が大坐骨孔から出るときにこれから分れる.--c)股関節の関節包への1本の関節枝Ramus articularis.--d)筋枝Rami muscularesは半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋の長頭・大内転筋にゆく.

5a. 総腓骨神経N. fibularis communis(図557, 559, 562)

 これは脛骨神経から分れたのちは大腿二頭筋の内側縁に沿って走り,腓腹筋の腓側頭の上を通って膝窩の外側角に達し,腓骨の頚部の外側面にいたり,ここから起る長腓骨筋の内部に入る前に主として知覚性の浅腓骨神経N. fibularis superficialisと主として運動性の深腓骨神経N. fibularis profundusとに分れる(図559).この両神経に分れるまでに大腿二頭筋の短頭への1枝と膝関節包の外側部と後部ならびに脛腓関節に達する若干の関節枝をだすが,そのほかになお次の枝をだしている:

 腓側腓腹皮神経N. cutaneus surae fibularis.これは膝窩の内部で総腓骨神経から発し,下腿部で各1本の前枝と後枝とに分れる(図559).その前枝は直ちに皮下にでて,下腿の外側面に沿って下方に走り腓骨躁まで達し,また膝部の下外側を弓状に回ってすすむ小枝を膝蓋部の皮膚に送っている.後枝腓側交通枝Ramus communicans fibularisといい,個体によりその太さを異にし,前枝のうしろで筋膜下を腓腹筋の腓側頭の上を下行し,下腿全長の中央で皮下にでて通常は腓腹神経と合する(図562).まれにはこの神経が腓腹神経と合しないで単独に走ることもある.

A. 浅腓骨神経N. fibularis superficialis(図559, 560, 563)

 これは急な傾斜をなして下前方の方向に長腓骨筋を貫いてすすみ,この筋と短腓骨筋とのあいだに達し,次いで長指伸筋の前外側面に接し,下腿の下部1/3のうちで下腿筋膜を貫いて皮神経として終る.皮下に現れてからあるいはなお筋膜の下をとおるときにこの神経は2枝,すなわち太い方の内側足背皮神経N. cutaneus dorsi pedis tibialisと細い方の中足背皮神経N. cutaneus dorsi pedis mediusとに分れる.この両枝に分れるまでに浅腓骨神経からは次の枝がでる:それは

 長腓骨筋および短腓骨筋への筋枝Rami muscularesである.

a)内側足背皮神経N. cutaneus dorsi pedis tibialis(図559, 563)

 これは内側方に向いつつ下行して足背に達し,その途中で細い枝を近くの皮膚にあたえ,足背で各1本の内側と外側との枝に分れる.この両枝が母指の内側縁および第2指と第3指のたがいに向き合った縁に分布する.

a)内側の枝は足の内側縁に向い,伏在神経からの細い枝と結合して,母指の内側面の背側の皮膚に分布しその末節まで達する.さらに深腓骨神経へ1本の結合枝を送って第1中足骨間隙を被う皮膚にも分布する.--b)外側の枝は第2中足骨間隙に達して,[足の]背側指神経Nn. digitales dorsales pedisとよばれる2本の枝に分れ,これらの枝が第2指と第3指のたがいに向き合った面にいたる.この枝が次に述べる神経から出ていることもある.

b)中足背皮神経N. cutaneus dorsi pedis medius(図559, 563)

 これは足関節Fußgelenkを越えてまっすぐに前方に走り,その近くの皮膚に分布し,各1本の内側枝と外側枝に分れ,この両枝が第3指と第4指ならびに第4指と第5指のたがいに向き合った縁に分布している.

S.529   

最終更新日13/02/03

 

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